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中学二年生  作者: 多摩屋
ニート編
27/33

第9話


 ログイン2日目。



 ログインしたら、またあのムカつく神父の居るあの教会だった。んで何故か神父は顔中に包帯を巻いて、右手を吊っていたけど怪我でもしたんか?


 まさかねー。日替わりでビジュアルチェンジする設定でもあるんだろう。なぜに包帯姿なのかは分からんけども。




 ま、いっか。

 今日もVR世界に来ちゃいましたよっと。


 学校とか行ってないから時間はいくらでもある。ふふっ、毎日通い詰めてレベル上げして、トッププレイヤーになったるわ!



 学校や会社があるプレイヤーの皆さーん、ご苦労様でーす。すいすい抜いちゃうので勘弁な!あははっ。



 さてさて、今僕が居る場所だけど、その名も『スライムの平原』だ。捻り無し。



 村の中央に案内板みたいのがあって、村を出て東に少し行ったとこに初心者にはうってつけの狩り場『スライムの平原』があると書いてあった。


 早速来てみたんだけど居るわ居るわ、スライムの群れ。どうやらノンアクティブモンスターの設定らしく、襲われることはなかった。



 ただ、予定外だったのは……。

 他のプレイヤーが4人ほど居たことだ。


 邪魔くさい。俺の狩り場に……クソッ。



 みんな初期装備姿で右手には『ひのきのぼう』だ。同じスライムを3人で叩いている。


 ダサっ。スライムくらい1人で狩れよ。




 あれ?1人だけ『こんぼう』を使ってソロってるぞ。



 うわ、スライムを潰した……うへぇ、グロい。目玉がコロコロ転がってるし……。





 ザ 筋肉自慢。


 居るよねー、あーいう奴。


 布の服の胸元をわざと大きくはだけて「俺の筋肉を見ろ」的な。バカだねー、ここはリアルじゃないんだよ?筋力だって全てパラメータの数値上のものだっての。



 でも何でこんぼうを装備出来るんだ?


 あいつのレベルが上がって単純に『ちから』が底上げされただけだよな。


 同じレベル1で『ちから』に差があるとしたらリアルを反映してるってことになっちまう。さすがにそんな不公平なことしないよな?……しないよな、運営?



 まぁどうでもいいや、あんな肉男。

 無視無視。



 よし!初めての戦闘だ!

 先手必勝ぉぉぉぉぉっ!




『スライムがあらわれた!

 スライムはこちらが身構えるより先に襲いかかってきた!』



 エー。なんでー?



『スライムの攻撃!

 ヒエンイカルガは6のダメージを受けた!』



 痛っってぇ!!

 ぷよぷよゼリー状のくせに、体当たりがめちゃ痛いんだけど!



 この野郎っ!


 べしっ!



『ヒエンイカルガの攻撃!

 ミス、ダメージを与えられない』



 エー。なんでー?




 結果、ボコられました。


 こっちの攻撃当たったの1回だけ。

 与えたダメージは1のみ。

 2回目のぷよアタックであばら折れた。

 3回目は痛恨の一撃。

 喉元にガブリ。ぶちゅぶちぃって音がした。

 生まれてはじめて血を吐いた。

 死ぬ程痛い。てか死んだ。





 教会にて、ぐんもーにーん。










 …………怖ぇから!!


 何だよ、あの痛みは!

 もう怖くて戦えねぇよ!

 これ何て無理ゲーだよ!


 やめよう、このゲームやめよう。

 トラウマになるわ。







 と、今までの僕ならやめていただろう。

 やめんよ。ヤツを打ち負かし、本当の意味で僕が斑鳩飛燕になる日まで。



 こんなに萌える……いや、燃えるのは生まれて初めてかもしれない。ふふっ、僕らしくも無「おぉ、しんでしまうとはなさけ「うるせぇな!!」な……」



「今、回想の最中だろうがっ!それにそれは神父のセリフじゃなくて、ドラ○エⅠⅡあたりの王様のセリフだ!グズが!」




「…………」




 まったく不愉快だ!

 生き返ったと思ったらこの糞神父の顔だ。


 もうこの顔を見るのも嫌だ。

 死なないよう、最善の注意を払おう。

 何でこんなにこいつが嫌いなのか分からんが、とにかく大嫌いだ。死ねばいいのに。ログアウト時にまた来なきゃいけないと思うとうんざりする。



「もうお前は喋るな。いいな分かったな?俺が言うことだけを淡々とやればいい。お馬鹿なNPCのお前でも言ってることは分かるよな?分かりまちゅかー?」



「…………」



 ん?

 こめかみあたりがヒクヒクしてるな。

 いや、気のせいだろう。




「そうだ、それでいい。出来れば白い布でも頭から被れば尚いい。お前の顔を二度と見なくて済むからな」



 思いきり糞神父に向けて溜め息をついて外に出る。駄目だ、やっぱりあいつは遺伝子レベルでソリが合わない。NPCのくせに。



 早く次の町に行こう……。

 


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