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中学二年生  作者: 多摩屋
中学生編
15/33

第15話

このキャラ大切に育てていこうと思う。

『召喚獣 シヴァ』





 例のキャンペーン当選者のひとりで、誠に遺憾ながらリアルでも知り合いになった人だ。



 組合に所属してからというものの、やけに僕に付きまとい親しげにしてくる。


 最初は「うわー、積極的な女の子だなー」なんてディスプレイの前でわくわくしてたけど、まさかネカマだとは……。



 キャラも口調も……ちょっと変わってたけど、女の子(てか女タイプの召喚獣だし)だったし、見分けなんかつくはずもない。



 ついつい『召喚獣 シヴァ』にだけリアル情報を教えたら、「わらわの住む場所のすぐ近くではないかっ」なんて感じで意気投合。


 近場で会う事になって、精一杯のおしゃれして会いに行ったさ。





 そこで待っていたのは――――。






 ぴちぴちの

 おしりが不憫な

 ヲタでした。




 なにあれ?

 ハイウエストの限界に挑戦中?

 ぷりぷりしとる。



 男だよ……。

 あれ完全に男だよ……。

 黒ぶちメガネだよ……。



 ……違う違う、あいつじゃない。


 絶対ちがう。

 そうでなければ困る。






「もしや、ヒエンかぇ?」








『かぇ?』いただきましたー!





 お巡りさーん、ゲームとリアルの境界線が曖昧な人が居まーす。


 犯罪予備軍だと僕は思いまーす。

 早く捕まえてー。








 困るー。

 凄く困るー。



 僕は自他共に認めるヲタだけど、ここまで自分を解き放つことは出来ません。


 いや、しちゃ駄目なんだと14歳ながらも理解しています。




 しかしこちらの方、清々しいまでに『召喚獣 シヴァ』です。



 立ち方がゲーム内の『召喚獣 シヴァ』と同じくモデル立ちで、手は腰に当てて手のひらをパーにして下に向けてますよ?



 まるでギ○ュー特戦隊。


 とーぅ! とか言いそう。






「……人違いです」




「約束の地に現れたのはヌシだけじゃ! 人違いな訳がなかろう!」




 スルーに失敗しました。


 約束の地って、ここバス停ですけど。




「あの……分かったから、僕がひ、飛燕です」



 やばい、なにこの自己紹介。

 顔が燃えそうに熱い。




「やはりそうか!『英雄』さながらの面構えじゃな! わらわが力を与えるに相応しい!」




 声大きいってば……。



 今のところ周りには誰も居ないからいいけど、知り合いなんかに見られたら自殺もんだな。



「あの、僕あんまり時間がないので用件は手短にお願い出来ます?」



「……んだよぉぉぉぉ! 田中氏ノリ悪すぎるよぉぉぉぉ!」




 やべぇ、名前バレしてたんだった……。

 しかし、素もうるさいな、こいつ。




「あの、じゃあせっかくなんで……お名前聞いてもいいですかね?」



 僕だけバレてるなんて不公平だ。












「シヴァじゃっ!!」



 満面の笑み。



















 …………イラッ。



「嘘うそっ! 僕は丸山台第二中学3年生の剛田たけし!」




 ジャイ○ン?



「今ジャ○アンとか思ったっ!? ぶぅー、だから嫌なのっ! リアル自己紹介って!」




 何だ今の「ぶぅー」って。

 可愛い系のつもりか?

 豚め。



「今後わらわの事はシヴァと呼ぶのじゃ! ヌシだけの特別じゃぞ? 本来なら下賎な普人族などに呼ばれたらその場で氷漬けにするところじゃ!」



 今まさに氷漬けです。

 寒い、寒いよ。





 こうなったら淡々といこう。



「柴さんは僕のいっこ上なんですね」



「シヴァ」



「柴さん、今日の用件てなんですか? 召喚獣契約の話がなんたらかんたらって言ってましたよね?」



「し、ヴゥァ」




 うぜぇ。




「し、ヴゥェァ……まぁ良い、とにかくわらわ達『召喚獣』の特性から話をしようぞ」



 やっと本題だ。

 ホント疲れる。



「わらわ達『召喚獣』は複数のプレイヤー達と契約を結ぶことが出来る。 契約可能な職業は普人族の『ハイウォーロック』、亜人族 エルフ種の『エレメンタルロード』、魔人族 ダークエルフ種の『ダークエレメンタルロード』の3種類なのじゃが、ヌシは『英雄』じゃからまったく問題無いのは分かるな?」



 クソッ、偉そうに。



「契約の対価としてわらわ達はゲーム内のお金である『コール』を貰っているのじゃがこれは1回こっきりではなく、ゲーム内時間で720時間おきに自動徴収するんじゃ」



 えっと……24時間×30日=720時間か。

 凄ぇ、家賃収入みたいじゃんか。


 しかし世知辛いなぁ……MPも消費するだろうに、金まで取られるなんて。



「しかもプレイヤーに喚ばれても、基本わらわ達召喚獣は普通にゲームをプレイしていられるのじゃ。 何故かというと召喚獣の『分体』が喚んだプレイヤーの所に行くという設定らしくての、わらわは何もせずとも金だけが懐に入ってくるって訳じゃ。 また大中小といった攻撃規模単位の3つの契約メニューがあってな、金額も変わってくるのじゃ。 大規模攻撃の場合はわらわをパーティに入れんと駄目じゃがの」



 多少は制約があるみたいだけと、金には困らない職なんだな。 いいな……。



「そこでじゃ、わらわはヌシと契約をしようと思っておる」



「凄くありがたいんですけど、僕お金あんまりないんですよ……。 小、中規模程度の契約なら僕の通常の魔法で事足りると思いますし」



 ふっふっふと笑う柴さん。

 (もう柴さんと呼ぶ事に決定)



「実はな契約には特殊契約というものがあってな、その名も『主契約』じゃ!」



 またも先程のモデル立ち&ギニ○ー特戦隊の手で、どどーんと立つ柴さん。


 ちなみにギ○ュー特戦隊風の手は柴さんのオリジナルと思われる。


 実際のゲーム内ではあんな変な動きは出来ないし。



「わらわ達召喚獣はただ一人、主を持つことが出来るんじゃ! 主契約を行うと、金銭の徴収無しでわらわを喚ぶことができ、単純にパーティを組みたい時など、遠く離れた場所に居ても喚べるという優れもの! しかも主に喚ばれた場合、わらわの能力は3倍に膨れ上がるのじゃ!」




 あーもー、うざいー。



「聞いておるのかっ、飛燕っ!」



「はい、なら僕帰るんで後でその主契約? でしたっけ? をお願いします」



 すたすた。



「待つのじゃ! なぜわらわがヌシにここまで優遇する理由を聞きたくはないのかっ!」



「いえ、別に」



 すたすた。



「ちょっ、まっ、す、好きなのぉぉぉぉ!」











 ……………。













 中3でゲイ。

 世の中狂ってるね。



 


ネットの世界では結構あるみたいですね。

顔も知らないのに話してるうちに恋しちゃう、みたいな。

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