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中学二年生  作者: 多摩屋
中学生編
14/33

第14話

またまたオチ無しです。

ネタが尽きてしまったので、

これから広げられればと思っとります。

 MMORPG『ふぁんたじあーす』。



 僕が生まれる前からあった老舗オンラインゲーム。


 舞台は架空の中世ヨーロッパ風の世界で、魔獣と呼ばれる異形の生き物が跋扈する剣と魔法の世界。


 様々な種族から好きな種族/性別を選び、また多彩な職業から好きな系統を選ぶ事が出来、職業レベルが上がれば専用クエストを受ける事で上級職に就くことも出来る。



 とまぁ、こんな感じで可もなく不可もなくといった、どこにでも溢れている普通のオンラインゲームだ。


 なぜ今更僕がこんなゲームをやってるかというと……。




 業界での人気も下火になってきた『ふぁんたじあーす』はあるキャンペーンを行った。



――――――――――――――――――――

『"ふぁんたじあーす"の仲間をもりもり増やそうキャンペーン』


 キャンペーン期間中に新規ご入会の方には抽選で、この世界にたったひとりしかなる事が出来ないレア職業をお付けします!



≪レア職業例≫


・歌姫

・国王

・魔王

・ギルドマスター

・召喚獣


などなど、合計で30のレア職業が!


――――――――――――――――――――


 自宅でネットサーフィンしていた時に見つけた、オンラインゲームによくあるキャンペーン広告。



 基本無料のオンラインゲームなので、軽い気持ちで登録したら……。




 見事当選。



 せっかく当選したのだから、とりあえずやってみようと始めたのが1年前。



 僕が当選した職業は30あるレア職業の中で最強と呼び声の高い――――。











『英雄』だ。





 通常、普通に『ふぁんたじあーす』を始めた場合は種族、系統(近接物理攻撃型/遠距離物理攻撃型/遠距離魔法攻撃など)を選択する。


 その際に基本能力値(筋力、体力、知力、精神力、敏捷性など)が決定され、戦闘スタイルに合った形で各種ステータス(HP、MP、物理攻撃力、魔法攻撃力、物理防御力、魔法防御力など)がレベルアップなどで上がることになる。


 例えば元々パワーファイター型の竜人族を選択し、ファイター系の職業に就いた場合はHP、物理攻撃力、物理防御力がより上がりやすい等だ。



 しかし『英雄』は基本能力値全てが最大である為、とんでもないことになる。



 また、近接/遠距離両方の物理攻撃スキルはもちろんのこと、魔法も魔法攻撃職、魔法支援職と同等に使うことができ、武器防具も好きなものが装備出来る。


 要は一般プレイヤーがなれる全ての職業にデフォルトで就いていることであり、成長速度がとんでもなく早いのが『英雄』だ。



 初期から『ふぁんたじあーす』をやっている古参プレイヤー達の殆どは最大レベルである300。



 その中で竜人族ファイター系最高峰の殴り職と呼ばれる『シェンロン』の裸状態のステータスは以下の通り。


種族:竜人族

職業:シェンロン

レベル:300

HP:27800

MP:17450

物理攻撃力:3453

物理攻撃速度:709

物理防御力:3056

魔法攻撃力:951

魔法詠唱速度:102

魔法防御力:1723

クリティカル率:13%

物理命中率:75%

魔法命中率:11%

回避率:18%

幸運度:24



 そして以下が現在レベル100の僕。



種族:普人族

職業:英雄

レベル:100

HP:35000

MP:35000

物理攻撃力:3500

物理攻撃速度:1000

物理防御力:3500

魔法攻撃力:3500

魔法詠唱速度:1000

魔法防御力:3500

クリティカル率:65%

物理命中率:99%

魔法命中率:100%

回避率:75%

幸運度:97





 何この成長の早さ。

 まさにチート。


 そして現時点でレベル最大の竜人族より強いという状況。


 通常、レベル差による補正(レベルに差がありすぎると攻撃が当たらない等)があるものだが、キャンペーン当選者は補正対象外らしい。



 そりゃもう妬まれましたよ。




「ぽっと出の新人の癖に英雄だぁ~? ふざけんな! アカウントごと俺に寄越せ!」


 だの、


「英雄なんだから皆に協力するのは当たり前だろ? さっさとパーティー組んで、高レベル帯の狩場で俺のレベル上げしてくれよ」


 だの。



 居るんですね、こういう人。


 僕が何かした訳じゃないのに難癖付ける人や利用しようとする人。


 特に後者が多い。


 僕の場合はまだ経験値稼ぎの道具扱いだけど、『国王』になった人は大変みたいだ。




『ふぁんたじあーす』には大きく3つの国がある。



 普人族の国、グランデロン。

 亜人族の国、シャイニング。

 魔族の国、カタストロフ。



『国王』は3つの枠があり、それぞれの国を統治する権限を持つ。(魔族の国の王は『魔王』と呼ばれ、通常の『国王』とは少し違う側面を持つ)



 要は国王(魔王)は街作りシュミレーションゲームが出来るということ。



 そのせいでアレ作れ、コレ作れだの、税金下げろだの一般プレイヤーは言いたい放題。



 国王になったプレイヤーの何人かはノイローゼになって『ふぁんたじあーす』を辞めた人も居るのだ。


 僕らキャンペーン当選者は2週間に1度はログインしないと、レア職が抹消され、一般職に戻されてしまう。


 上記のようにノイローゼで辞めた人は自動的に国王職を辞す事になり、新たな『国王』が再度抽選されるといった具合。



 グランデロンの国王なんかは既に3代目になっている。



 とまぁ、こんな感じでキャンペーン当選者達は一般プレイヤー達にかなりいいように使われたり、嫌われたりしている。



 何の努力もせず、文字通りチートなので仕方ないとも思うけども。



 運営側はこの状況を楽しんでいる節があり、今のところキャンペーン当選者へのアフターケアは無い。


 そこで「運営が守ってくれないなら、自分たちで何とかするしかないっ!」という行動力溢れるキャンペーン当選者が現れ、非公式な組合を作った。




 彼女の名前はニュウコン=イッキュウ。

 エルフの女性キャラだ。



 職業は――――




PKK(プレイヤー・キラー・キラー)






『ふぁんたじあーす』は普通にPKが認められている。


 流石に街中でPKを行うことは出来ないが、いざ街の外に出るとそこはもうスラム街並みの殺伐としたものになる。


 僕が初めて『ふぁんたじあーす』にログインした日なんか、8回は殺されたし。



 プレイヤーを殺したプレイヤー(表示名が赤色に変化する)は様々なデメリット(街の警備兵に攻撃される、商店を利用出来なくなる等)を受けることになるが、メリットも存在する。


 殺した相手の装備品を手に入れる事が出来るのだ。


 ドロップする確率は低いものの、良い装備を持った高レベル者を粘着し、何度も大人数で襲いかかるといった戦法を行う盗賊のような集団も居たりする。



 そしてニュウコンさんの『PKK』という職業はこいつら相手に真価を発揮する。


 通常時は一般の弓系上級職である『サジタリウス』程度の力しかないが、『PKK』の専用装備『魔弓マンイーター』を装備すると『英雄』すらも凌駕する死刑執行人となる。



『魔弓マンイーター』はプレイヤーを攻撃したプレイヤー(表示名が紫色に変化する)にしか攻撃を与えることしか出来ず、通常の狩りなどには使う事が出来ない。




 しかしその効果は――――



『PKに対する即死攻撃』



 カスっただけで相手のHPを0にしてしまうというもので、その上、殺した相手の装備品の半分を強制的にドロップさせる。



 この存在を知った一般プレイヤーは「正義の味方が現れた!」と崇拝し、こぞって「私の装備をPKから取り戻して!」と泣きつくようになった。



 ニュウコンさん曰く、最初のうちは一般プレイヤーの要望にも答えていたが、そのうちPK達から狙われる立場となってしまった為にPKK行為を少し自粛しだすと一般プレイヤー達からは「腰抜け」だの「何の為のレア職業だ」とのたまうようになってきたらしい。



 うんざりしたニュウコンさんは一般プレイヤー達と距離を取ったのち、他のキャンペーン当選者を独自に調査し、そのほとんどが自分と同じ境遇である事を知った。



 そしてニュウコンさんは自分と同じような境遇のキャンペーン当選者に呼び掛け、その内7人が賛同し、組合を結成した。



 勿論僕もその内のひとりだ。


 但し、組合といってもクランを結成した訳ではない。


 クランを組まなかったのは一般プレイヤー達に「キャンペーンの恩恵を当選者だけでウマーするつもりか!?」などのあらぬ疑いを掛けられる事を恐れた為だ。







「最近どう?」



 グランデロンにあるニュウコンさんが用意してくれた『キャンペーン当選者を守る会』の拠点ハウス内でニュウコンさんにいつもの質問をされる。



「……相変わらずと言ったところだ」





 あ、僕、ロールプレイ命なので、まんま妄想の中の斑鳩飛燕になりきってまーす。





「『英雄』くんはクールだねぇ。 中の人がどんな人間なのか凄い興味があるんだけどなー」



「中の人など居ない」



「なるほど!『英雄』くんはミッ○ーマウスとかと同じ存在なんだね!」



「ミッ○ーマウスなど知らん」



「つまんないのー」




 天真爛漫な性格で、いつも周りを盛り上げてくれるポワワン姉さんのニュウコンさん。


 これで中の人がおっさんだったりしたらショックを隠しきれないだろうし、僕も詮索されたくないからこういう話題はぶった切るに限る。



「そんな事より、他のやつらはどうしたんだ? 今日は月に1度のミーティングだろう?」



「『グランデロン国王』はいつも通り政務に追われて来れないってー。『召喚獣 シヴァ』と『召喚獣 イフリート』は少し遅れるってさっき連絡あったよ。『料理人』は素材集めに遠出してるからパスするって言ってたしー。『奴隷商人』は連絡つかないんだよね……大丈夫かな、あの子。 」



「……結局、集まれるのは4人だけということか?」



「そだね」




 なんだよもぅー。

 全然団結力ねぇじゃんかよー。


 てかもう夜中の1時だよ。

 明日学校だし、もう落ちよう。



「……なら落ちるぞ」



「言うと思った。 まぁシヴァとイフリートが来ても実のある話し合いにはならなそうだし、あたしから言っておくよ」




 頼むと一言残し、ログアウトする。


 明日はシヴァに文句言われるだろうな……。



 あぁ面倒臭い。

説明をくどくど書くのって大変。

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