#4
「私、篠原君のこと好きなの!中学の時から好きで・・・」
生告白を始めてみる私は、胸が張り裂けそうなくらい緊張した。
本当だったら緊張するのは、私ではないのだが・・・。
「ごめん、俺女は作らねーから」
告白を断る純也。純也はなぜか彼女を作らない。
それは幼馴染みの私でも知らない。
「どうして?やっぱり篠原君は、中田さんのことが好きなの・・・?」
しっかり聞いてしまった。私の名前が出た。
純也が私を好きというのは、ありえないことだ。
幼馴染みは相手を知り尽くしているのだ。新しい出会いがなければ意味が無い。
「夏奈のことは別になんとも思ってない・・・」
「好きになっちゃダメ・・・、中田さんね一年生に好きな人がいるんだって、その子私達
と同中でイケメンなの、今日二人きりで話してたよ、いい雰囲気だった、だから・・・
ね?」
どうしたのだろうか。下山の言っていることはすべて出鱈目。
私は、今にも泣きそうな気分。そして肩に優しさを込めてくれる、雪。
本当はここへ来なければよかったのではないか、そう考えてしまった。
「別に夏奈が男といたっていいんじゃね?そうゆー年頃だろ?」
その言葉には、トゲがあるようだった。胸の奥に突き刺さる、そんなトゲ。
なんとも言えなかった。ただ聞いているだけでこんなにも押し潰されてしまう。
「夏奈・・・もう帰ろう?」
私は、頷いた。
雪のその言葉に救われた気がした。涙が溢れ、頭を撫でてくれる雪。
こんなとき頼りになるのは、親友だと改めて実感する。
家に帰ると母が夕飯を用意していた。
「あ、帰ったの?ちょっと手伝ってちょうだい」
私は母のことを無視し、自分の部屋へと入った。
どうしてかわからないが涙が出てきた。
「・・・どうしてこんなに苦しいの?・・・どうして・・・」
自分の気持ちは曝け出すことは出来なかった。自分で自分の気持ちが分からなかった。
「かーなー、夕飯よー、下りてきなさい!」
私は、泣きながらベットの上で目を閉じた。