#3
翌日。とうとう入学式がきた。
四月二十五日。ついに後輩ができる時がきた。
さっそくはりきって学校に行った私は、校門に雪が立っているのを確認した。
「・・・あ!かーなー」
雪に見つかってしまった。
約束のことを言うために待ち伏せをしていたのだろう。
教室でも会えるのにわざわざ校門で待たなくてもいいんではないかと思った。
「今日、ぜーーったい一年の教室行こうね」
「はいはい、分かってるって」
そういって私は、雪の横をスッと通り抜けた。
「ちょっと!夏奈!もう・・・」
不貞腐れている雪の顔を見るのは、何度目だろうか?
教室につくともう先生が黒板に今日の予定を書いていた。
それをパッと見て私は、席に付いた。
あとから雪が教室に入ってきて、私の方をずっと見てきた。
視線は感じるが顔は向けない。向けたら確実に騒ぐことはわかっていたからだ。
するとチャイムが鳴った。生徒は席に着き、先生が教卓の前に立った。
「また式だが頑張ってくれ、今日は入学式だからな!それじゃ廊下に並んで」
そういって二年D組は廊下に並んだ。
体育館には綺麗に椅子が並べられていた。
私たちはその椅子に座り、入学式が始まるのを待った。
「これから入学式を始めます、新入生出場」
教頭が司会をする。新入生が体育館に入ってきた。
新しい制服。ぴっちりとした髪型。一年生らしい子ばかりだ。
中には、不良っぽい子もいたがそこまで悪いようには見えなかった。
そして二時間かけての入学式が始まった。
終わったのは、十一時前。ずっと座っていたため、体中がこってしまう。
そして教室に戻った後、私と雪は一年生の教室に向かった。
「ピッチピッチの一年生だね・・・よーし!イケメンを探しに行こう!」
「何言ってんの?雪、彼氏いるでしょ!」
私の言葉を無視して、雪は一年の教室を覗いていった。
教室を覗くごとに一年生がこちらを警戒している。
それはそうだ。雪の目が怪しかった。
「ちょっと!ちょっとちょっと、夏奈!あそこ、あれイケメン男子だよ!」
それは教室、C組でのことだった。
私は雪に引っ張られ、教室を覗いた。
雪の指差しているほうをみたが女子の集っているところだとしか確認できなかった。
「どこ?あれって女子が集ってるだけ・・・」
「違うって!その奥!囲われてるだけ!」
そういって目を凝らす。よく見てみるとイケメンらしい男子が見えた。
雪はずっとカッコイイといっているが私にとって男は顔ではないと思っている。
そう思いながらももう一度彼を見た。
すると彼がことらに気付いた。
「やば!こっち見られたよ!雪、戸閉めて!」
「目が合ったらますますイケメンだ・・・」
私は壊れている雪を引っ張り、戸を閉めた。
一息をつく。緊張が張り詰めているようだった・・・。
するといきなり戸が開いた。
「わっ・・・って今さっきのイケメン君だ!」
雪が騒ぎ出す。私は唖然として見た。何を言われるのか心配だった。
「あの・・・中田夏奈さんですよね?前、図書館で会った・・・」
私と雪は、いきなりいった一言が意外すぎて唖然とした。
「え・・・えっと夏奈と知り合い?」
そう雪が聞くと彼は、中学のときのことを言ってきた。
「あ、中学のとき図書館で勉強してて、俺が悩んでたら夏奈さんが教えてくれたんです!それで俺、今
夏奈さんのファンで誰にでも優しいんだなって」
私は、中学時代の出来事を走馬灯のように思い出した。
「あのときの・・・藤本晃輝君だったっけ?」
「そうです、藤本晃輝です!」
そうして私と晃輝はあの時のことを話していた。
私の隣にいる雪は、不気味な笑みを浮かべていた。
何か企んでいそうな、そんな顔だった。
会話が終わり、そろそろ帰らなければならないときがきた。
「もうそろそろ帰らないと・・・」
「そうなんですか・・・また勉強教えてください!」
そして長話は終わり、私と雪は学校を出た。
学校を出た後の雪は、妙なオーラを出していた。
何か起こりそうな予感はしていた。
学校から帰っていると純也が曲り角にいた。
「あ・・・純だ、それに下山さん?」
「ほんとだ・・・なんだろう?もしかして告白!ちょっと近く行って見よう!」
私は頷き、二人の会話が聞こえるところまで近づいた。
雪の予想は的中していた。下山から純也への告白だった。
新登場人物
・藤本 晃輝 ふじもと こうき
・下山 麻梨 かやま まり
読んでくださりありがとうございます!
とうとう問題がやってきます!!