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#1

登場人物

中田 夏奈 なかた かな

篠原 純也 しのはら じゅんや

佐藤 雪  さとう ゆき

木村 翔  きむら しょう

 桜満開の季節。春の風が木を揺らす。


 高校二年生になる私は、始業式の始まる学校へと向かっていた。


「かなー、おはよー」


後ろから声を掛けてきたのは、私の親友の佐藤雪。


彼女とは、中学の時から友達になった。信頼しあえる友達だ。


「おーい、待てよ!夏奈、佐藤!」


また後ろから呼ばれた。それは篠原純也。私の幼馴染み。


小さい頃、両親に連れられこの街に来た。今となっては幸せだ。


「置いていっちゃうよー、純、木村君!」


私は純也のことを「純」と呼んでいた。小さい頃からそう呼んできた。


純也の隣にいるのは、木村翔。彼は雪の彼氏であり、純也の友達。


私たちは、いつもこうして日々を送っていた。


学校に着くまで私たちの話は止まることは無かった。


 学校に着くと、もう人がたくさん集まっていた。


「始業式だね・・・あ、クラス表があるよ!夏奈、見に行こう!」


私は、興味深く頷いた。


クラス表の貼られてある掲示板に駆け寄った。


「えーっと、私はD組!夏奈は?」


私は、A組から順に見ていった。


順に見ていった結果、D組に名前はあった。


「D組だよ!やったー、一緒だね!」


私たちは、その場を騒ぎ立てた。後から純也と翔も駆け寄ってきた。


純也と翔も同じクラスだった。


クラスは全部でEまでしかない。だから一緒になる確率なんて少ない。


だから私たちは奇跡だと思っていた。



 教室に着き、中に入る。室内は、賑やかだった。


前の黒板に席が書いてある紙が貼られていた。


「一番左の・・・後ろか」


私は独りで呟く。一応良い席にいるのではないだろうか。


「うわあああ、最悪・・・一番前だよー」


雪はど真ん中の一番前。純也は、一番右の前から二番目。翔は、その後ろだ。


席はバラバラになってしまったがクラスが一緒なだけでも嬉しい。


私は席に座った。


席からはみんなが見渡せた。一番後ろという快感。


するとチャイムが鳴った。担任らしき人が教室に入ってきた。


「始業式が始まるから廊下に並んで」


そう指示があり、私たちはいっせいに動いた。


廊下に並ぶ時は、だいたい静かに並んでいた。



 「これから始業式を始めます。礼」


司会の教頭先生が挨拶を言う。


そして刻々と時間は過ぎていき、一番苦痛の時間がやってきた。


それはもちろん校長先生の話。中学の時もやたらに長かった。


どうしてそんなに話すことがあるのだろうかといつも思う。


「えー、今日はね、始業式でね、明後日は入学式というね、大変なね・・・」


いつもこの校長は語尾に「ね」をつける。もう年だからなのかもしれない。


「・・・受験生のみなさん頑張ってね、それでは終わります」


「礼」


いっせいに礼をする。やっと終わる校長の話。溜息が聞こえる。


「これで始業式は閉式します。礼」


始業式が終わり、みんなの表情は朝より格段に暗くなっていた。


 教室に戻ったD組は、ホームルームをした。


「今日はお疲れだった、今日は俺の自己紹介タイムだ!名前は渡部隆義・・・って知ってるよな!」


先生の話も長かった。自分のことになると長くなる。


生徒には叱り、自分が話しているときは満足気分。よくあるパターンだ。


今日はこれで終わりだがこれからが怖い。


一日の終わりのホームルーム。この時間がまた苦痛になる。


「じゃ、今日はこのくらいで!それでは、起立・・・礼!」


やっと終わった一日。昼前に帰れることが何よりの幸せ。


「夏奈、帰ろう!」


「うん」


そして私たちは、下校した。

読んでいただきありがとうございました。

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