【68話】レッスン2
次のバイト。
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「おはようございます」
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「あー……おはよう」
店長。
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(よし)
(まず名前や)
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俺、
一歩前に出る。
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「てっ、店長って」
「下の名前、なんて言うんですか?」
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店長。
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ポカーン。
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「……え?」
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「カズヒロやけど」
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(きた)
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「わかりました!!」
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「カズヒロ店長!!」
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「……君」
「ふざけてる?」
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「呼ぶ時は」
「店長でお願いします」
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くすくす。
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後ろから、
小さい笑い声。
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(……あ)
(なんか、ちゃうんか)
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少し間。
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(次や)
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「あの!」
「店長!」
「好きな事とか、ありますか?」
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店長。
眉が、
ピクリ。
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「……君は」
「なんなんですか?」
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「今、仕事中なので」
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「私語は」
「控えて下さいね」
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……はい。
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足元。
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【使えない】
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ちょっと大きくなってる?。
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バイト後。河原。
カツヤ。
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話した瞬間。
「ぶはっ!!」
大爆笑。
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「お前」
「どんなタイミングで言うとんねん!!」
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「普通休憩中とか、
誰もおらん時とか」
「いくらでもあるやろ!!」
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「いや」
「笑い事ちゃうねんけど……」
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カツヤ、
涙拭きながら。
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「まぁまぁ」
「でもな」
「それでもええわ」
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「今のお前な」
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「使えないレッテル」
「空気読めんレッテル」
「なんか素直なアホやな、ってレッテル」
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「三枚貼られとる」
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「……最悪やん」
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「せや」
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「せやけどな」
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「それは
「逆に使える」
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俺、
首かしげる。
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「まずな」
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「その店長、話聞いてる限り
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「多分、真面目系や」
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「皆の前では」
「ちゃんと店長やっとるタイプ」
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「せやから」
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「店長の前で」
「ちょけるのはナシ」
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「基本」
「真面目にしとけ」
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「……はい」
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「次」
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「指輪」
「見たか?」
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「……見てないです」
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「やろな」
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「結婚してるかどうか」
「それだけでも」
「話題、変わるねんけどな」
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「あと」
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「雇われ店長か」
「売り上げ直結タイプか」
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「空気で察知しろ」
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「売り上げの話」
「多かったら後者や」
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「後者はな」
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「基本」
「ピリついとる」
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「……なるほど」
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「せやから」
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「まず
「興味聞くなら」
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「休憩中」
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「しかも」
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「軽く」
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「スマホ触っとったら」
「チャンスや」
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「もし、
「ゲームしてたら」
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「それ何ですか?面白そうですね」
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「言うだけでええ」
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「でな」
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「お前もすぐダウンロードしろ」
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「……え?」
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「話合わせるんちゃう」
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「同じ土俵に立つんや」
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「それだけで、空気は変わる」
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俺は、
黙って聞いてた。
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足元を見る。
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【使えない】
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まだ、
消えへん。
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でも。
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さっきより、
ちょっとだけ。
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角が、
丸くなった気がした。
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——つづく。




