表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/69

【60話】なんなんその間


今日も、

いつも通りランダムマップに飛んだ。


見慣れた異世界。

見慣れた空気。


そして——

少し前を歩く、

サンダルのおっさんの背中。


じょり、じょり。


「……」


ふと、思う。


なんだかんだ、

このオッサン、めっちゃ師匠やん。


教え方は雑。

説明もしない。

頼りになったり、ならんかったり。


お金貸してって言われる頻度は、

まぁまぁ高い。


でも。


なんだかんだ、

結構一緒におる。



ギィ……。


どこからともなく、

嫌な音。


モンスターが現れる。


相変わらずのタイミング。

相変わらずの距離感。


オッサンは——

相変わらず、パンチを喰らう。


ドン。


「だからぁ!!」


俺は思わず叫んだ。


「避けれるんやったら

 避けろよ!!」


オッサンは笑いながら言う。


「いやまぁ、しゃーないねん」


「これはもう、

 どうしようもないからなぁ」


「なんでやねん!!」



その間にも、

モンスターはこっちに向かってくる。


フィッ。


俺は、

ギリギリで避けた。


身体が、

勝手に動いた。


スマホを構える。


QRコード——

……見つからん。


そもそも。


モンスターごとに、

QRコードの位置がバラバラすぎる。


「どこやねん……!」


避ける。


かわす。


一発、

イカつめのダメージをもらう。


「ぐっ……」



その瞬間。


プチュン。


小さな音。


モンスターが、

一瞬だけ固まった。


——次の瞬間。


モンスターの背後から、

オッサンの腕が突き出る。


俺の目の前で、止まる。


「うわっ!!」


「いやぁ〜

 今のは中々危なかったなぁ」


「いやオッサンの拳の方が

 危なかったわ!!」


モンスターは、

そのまま霧になった。



気づけば。


俺は、

モンスターの攻撃を

そこそこ避けれていた。


完璧ではない。


何発か、

普通に喰う。


でも。


前より、

逃げてない。



ふと、疑問が湧く。


「なぁ」


「オッサンってさ」


「めっちゃポイント持ってるんちゃうん?」


「なんか使ってるん?」


オッサンは、

当然みたいな顔で言った。


「ん?」


「そんなん、

 聞かんでも分かるやろ?」


「いや分からんやろ」


「もちろん……」


少し間。


「ガチャや」


「……やっぱりか」


「それは聞かんでも

 分かった気するわ」



「お、ちょうどええな」


オッサンがスマホを見る。


「5000、貯まっとる」


「ちょっと見とけよ」


おもむろに、

スマホを操作。


ガチャ画面。


謎のコマンド。


【プレミアムガチャ

 5000ポイント】


「え?」


「今のコマンドなに?」


「それはええねん」


「よっし、いくぞ」


「そりゃ!!」



キィィン——!!


ピカーッ!!


青白い雷が、

スマホの周りで弾ける。


バチバチィ……。


【理を砕く剣】

この剣に不可能はない


武器セレクト

この武器にしますか?



「えっ」


「めっちゃええ武器やん!!」


「絶対ヤバいやつやん!!」


オッサンは、

一瞬も迷わず——


ピッ。


元の武器を選択。



「はぁぁぁぁ!!?」


「なにしとんねんお前ぇ!!」


オッサンは、

少し考えてから言った。


「ん〜」


「色がなぁ」


「あと名前がなぁ」


「……」


「プッシュボタンの方が

 かっこええやろ?」



俺は、

思わず殴っていた。


今までで一番、

フン!!って感じのパンチ。


ドン。




「いやぁ」


オッサンは笑う。


「そのうち、

 お前にも分かるって」


「絶対分からんわ!!」



二人で、

空を見上げる。


意味は分からん。


でも。


この意味分からん感じが、

いつの間にか

俺の“普通”になっていた。



「なぁ、オッサン」


「そういえばさ」


「オッサンって、

 名前なんなん?」


、.......


「仁や」


……


……


「あ」


「ヒトシな」


なんなん、その間。



——つづく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ