【第6話】 招集通知
スマホが鳴った。
音はない。
振動だけが、一度。
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「チーム対抗戦が選択されました」
またか、と思った。
でも、もう驚きはない。
ん?チーム?、、、、
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視界が切り替わる。
教室が消えて、
足元の感覚も消える。
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立っていた。
いつもの、あの空間。
何もない。
色のない床。
音のない広さ。
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「……はいはい」
俺は肩をすくめた。
「今度は何やねん、
流石に慣れてきたわ。」
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横を見る。
リナがいる。
スマホを片手に、いつも通りの顔。
「チーム戦らしいで、よろしく(*^^*)」
軽い。
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少し離れて、
ユウタ。
落ち着かない様子
でもまだ普通の範囲内
ぼそっと口が動く
「チーム戦、、、」
⸻
最後に、
カツヤが現れる。
腕を組んで、
にまにま笑ってる。
「へぇ〜」
「今回はチーム戦かぁ〜笑
い〜ねぇ〜」
余裕。
完全に。
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四人。
別に仲良しってわけでもない。
でも、変な緊張はない。
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空間の中央が光る。
「対戦相手、決定」
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向かい側に、
四人が現れる。
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制服が違う。
雰囲気も違う。
このあたりの地域では有名なあの制服、
あの有名私立の連中。
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全員、姿勢がいい。
視線が高い。
無駄な動きがない。
——いかにもエリート。
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一人が、軽く笑う。
「よろしく」
「面白そうやね」
完全に余裕。
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こっちも、特に反応しない。
なんやかんや、
いつも通り。
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画面が切り替わる。
「対戦形式」
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ここまでは、
ただの流れ。
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次の文字が出る。
「スマホキャッチ」
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——
画面が切り替わり
スマホキャッチの説明が流れていく
次第に皆の空気が、
変わった。
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リナの表情が、止まる。
カツヤの笑いが、
一拍遅れて消える。
ユウタは、
息を吸ったまま固まる。
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向こうのチームも。
さっきまでの余裕が、
嘘みたいに消えた。
誰も喋らない。
誰も動かない。
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説明が、淡々と流れる。
「代表者が高さを設定」
「スマートフォンを落下」
「下のチームメンバーがキャッチ」
「合計落下距離が高いチームの勝利」
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……それだけ。
俺は思った。
「シンプルやん」
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でも、
誰も同意しない。
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さらに、文字が追加される。
「※注意」
「スマートフォンは破損する可能性があります」
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今度は、
はっきり分かった。
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向こうのチームが、
視線を交わす。
一人が、
喉を鳴らす。
もう一人が、
スマホを握り直す。
——誰から行くか、
迷ってる。
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リナが、
小さく息を吐いた。
カツヤは、
視線を逸らす。
ユウタは、
完全に俯いた。
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「……?」
俺だけが、
状況を掴めてない。
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「仮想空間やろ?」
俺は言った。
「壊れても別に、問題ないんちゃうん?」
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三人が、
同時に俺を見る。
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その目で、
分かった。
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俺だけ、
知らない。
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カツヤが、
低く言う。
「お前……」
「もしかして、一回も勝ってないんか?」
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リナが、
何か言いかけてやめる。
ユウタは、
何も言わない。
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向こうのエリート達も、
こちらを見る。
いや——
俺のスマホを見る。
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先行チーム
「エリート高校」
「な?!!
エリート高校の1人が声を荒げる
「明らかに先行不利やろぉて」
すぐに無駄だと悟る、
元々これは理不尽なゲーム、
公平も平等もないのは皆分かりきっていた。
無機質な声の
カウントダウンが始まる。
「10」
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敵チームの一人が、
強がった笑顔を作る。
「……まあ、行くしかないやろ」
声が、少し上ずってる。
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「5」
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リナが、
小さく言う。
「……順番、考えよ」
その視線が、
自然と俺に向く。
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「え?」
俺は首を傾げた。
「俺、最後なん?」
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誰も否定しない。
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「3」
「2」
「1」
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空間が光に包まれる。
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俺は思った。
これ、
高さの勝負ちゃう。
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——覚悟の差や。
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そして多分。
一番高く落とせるのは、
一番、何も知らん奴。
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第七話へつづく。




