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【52話】 ペットっち

目を開ける。


白い天井。

消毒液の匂い。

背中に伝わる、硬いベッドの感触。


「……あー」


病院。


「デジャヴか?」


自分でも驚くほど、声は落ち着いていた。


「すみません」


横から、淡々とした声。


首だけ動かす。


そこにいたのは——

キョウコだった。


白衣。

姿勢は相変わらず完璧。

表情は、何も映していない。


「思わず、殺してしまうところでした」


真顔で言う。


「……いや、なんか俺もゴメン」


なぜか謝っていた。


___

__


「で?」


キョウコが、首を傾げる。


「撮れたんですか?

 QRコード」


俺は無言でスマホを取り出した。

ロックを解除し、アルバムを開く。


——増えている。


【キョウコ】


指が、少しだけ止まる。

でも、開いた。



【アプリ使用状況】


ペットっち


・累計起動回数

 1,482回


・平均使用時間

 11時間/日


・課金額

 127,000円


「…………」


俺はスマホから目を上げた。


キョウコと、目が合う。


「…………」


沈黙。


「内容を言いなさい、

私の弱点?数値?

何が見れたの?」



主人公は

悩みつつ、口を開く



「ペットっち」


......


「結構ハマってるんですね」


.....


....




空気が、凍る。



キョウコの間の抜けた顔


「それだけ?


主人公


「いや、課金額とかも見れて、

1日何時間やってるとかも!!



「だから何?それが何の役にたつの?」


_____


主人公は何も答えれなかった。



........



......



そして

完全に開き直った。


「で!!」


自分でも驚くほど大きな声。


「修行、

 頼んでもらえますか?!!」


一瞬。


キョウコが、静かに瞬きをする。


(……能力は使えない)


(内容はあってる)


(でも戦いでは使いにくい)


(ただ……)


(ワンを倒したらしい)


(意味が分からない)


脳裏をよぎる、


(これをショーヘイに報告する……?)


——無理。


(不確定要素が多すぎる)


キョウコの中で、

いくつかの選択肢が並ぶ。



選択肢1

追い出す。

(でもショーヘイさんは評価してる)


選択肢2

ショーヘイさんに修行をお願いする

(いや、無駄でしかない)


選択肢3

.......



小さく、息を吐く。


(まぁとりあえず保留で様子を

 見るしかないわね)


顔を上げる。


「いいわ」


その一言で、

俺の顔が明るくなりかけた、その瞬間。


「修行、つけてあげる」


「私が」

 


「え?!



「ただし」


空気が、一段階冷たくなる。


「契約よ」


一歩、近づく。


「さっき見た“ペットっちのこと」


「誰にも言わない」


「一言も」


「墓まで持っていくの」


「……分かった?」


「いや、俺が修行つけてほしいのは——」


「わかった?!!」


初めて、

感情が乗った声。


俺は背筋を伸ばした。


「……はい」


キョウコは、ほんの僅かに満足そうな顔をした。


「よろしい」


ベッドの横に、

見慣れない書類が置かれる。


【院内特別プログラム

 適応訓練】


「逃げないでね」


「病院の修行は」


「思ってるより、

 ずっと“壊れる”から」


こうして。


誰にも説明されないまま、

謎の病院修行編が始まった。


(一応誰にも知られたくないんやぁ〜)


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