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【49話2章ラスト】 カレンダー

ログアウトした。


世界が一瞬、白くなって——

次に目を開けた時、

俺は自分の部屋にいた。


いつもの天井。

いつもの壁。

スマホだけが、やけに重たい。


「……」


ベッドに腰を下ろす。


さっきまで見てた光景が、

頭から離れへん。


家電ショップ。

RINA。

YUTA。


助けるって、決めた。


でも——

どうやって?


買うんか?

買ったら戻るんか?

ポイント貯めたらええんか?


分からん。


分からん事ばっかりや。



「リナとユウタ……」


現実世界で、

あいつらどないなっとるねん。


普通に生活してたらええけど。

いや、普通ってなんや。


考えれば考えるほど、

息が浅くなる。


「……てか」


ふと思った


俺、今、何歳なん?


高校二年で、

スマホに「対決」が出て、

色々あって——


その続きが、

ごっそり抜け落ちてる。


学校。

卒業。

記念写真。


何一つ、思い出されへん。



「……カツヤやな」


俺は外に出た。



カツヤは、

普通に会社帰りやった。


スーツ。

革靴。

スマホで誰かと電話してる。


「了解です。

 では明日」


通話を切って、

こっちを見る。


「ここでは


「久しぶりやな」


______



「……お前」


一瞬、言葉に詰まる。


「その格好、なに?」


「社会人」


当たり前みたいに言う。


「一流企業の新人や」


「……は?」


「お前は?」


間髪入れずに。


「ニートやな」


「即答すな!!」


「学校も仕事も行ってへん。

 書類上は“空白期間”や」


笑いながら言うな。


「リナとユウタは?」


俺は聞いた。


カツヤは一瞬だけ、

視線を逸らす。


「……来てへん」


「学校にも、家にも」


「警察も来たで」


「何が起きましたか、って」


「……」


「お前、覚えてないやろ」


首をかしげる。


「まぁ、

 お前も壊れかけやったしな」


頭の奥が、

じん、と痺れる。


「俺さ……」


「まだ高校生の気分やねんけど」


「現実では?」


「とっくに卒業してる」


「体験してないけどな」


笑い事ちゃう。


「で、どうすんねん」


カツヤは言った。


「助けるんやろ?」


俺は答えられへんかった。





_____


そのあと、

気づいたら一人やった。


夜。


川の上にかかる橋。


街の灯りが、

水面で揺れてる。


俺は手すりにもたれて、

ぼーっと流れを見てた。


助けたい。


でも、

助け方が分からん。


強くなればええんか。

弱くなったらええんか。


そもそも、

何が正解なんか分からん。


……でも。


何もせんかったら、

何も変わらん。


それだけは、分かる。


「……あ」


ふと、口から出た。


「これ」


「修行か?」


理由も分からん。

成果も見えへん。


でも今の俺には、

それしか思いつかんかった。


スマホの画面が、

静かに光る。


【第2章・完】


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