【48話】 ポイント5倍DAY
街へ向かう途中、
ふと、思い出したみたいに俺は言った。
「……ちなみにさっきの蛇、
何ポイントやったん?」
カツヤ
「あいつは……12ポイントやな」
俺
「……強いんか弱いんか、
よう分からんな」
カツヤは鼻で笑う。
「ちなみにワンはな、
元々1万ポイントとか、
1億とか言われとったで」
「誰もホンマに
1ポイントやとは
思わんかったやろな」
俺
「……ほんまやな」
少し歩いてから、
俺は急に立ち止まった。
「あっ」
カツヤ
「なんや」
俺
「忘れとった」
嫌な予感がしたのか、
カツヤは一瞬だけ黙る。
「……リナとユウタは!?」
カツヤ
「お前……
今さらかよ」
「絶対忘れとったやろ」
俺
「……否定はせえへん」
カツヤは肩をすくめた。
「まぁな。
忘れとるぐらいで
良かったって事も、
あるけどな」
俺
「どっちやねん」
カツヤ
「行こか」
俺
「どこに?」
カツヤ
「街の家電ショップ」
俺
「……は?」
⸻
店内は、やたら明るかった。
ピカピカ。
電子音。
値引きのポップ。
その奥に——
《最新モデル入荷》
超高機能冷蔵庫
《RINA》
最新型電気カーペット
《YUTA》
俺
「…………は?」
説明文。
《生活最適化AI搭載》
《感情予測機能付き》
《人の気配を忘れない設計》
値札。
……高すぎて、
一瞬、脳が止まった。
「たっか……」
俺は、
恐る恐る冷蔵庫の扉を開ける。
冷気。
中は、
綺麗すぎるくらい空っぽ。
閉める。
——カチャン。
「……なんか」
喉が詰まる。
「ちょっとだけ、
リナっぽい気、せえへん?」
カツヤは何も言わん。
俺は次に、
電気カーペットの上に立ってみる。
……じんわり、温かい。
「うん」
少し間。
「……いや、
やっぱ分からんわ」
俺は頭をかいた。
「これさ、
助けるとかちゃうよな?」
「買った所で、やろ?」
「てかそもそも、
買えんけど」
カツヤ
「せやな」
「今はな」
俺は、
もう一度だけ値札を見る。
無理や。
今の俺には、
どう考えても無理。
……でも。
「なぁ」
俺は言った。
「いつか、助けるわ」
カツヤが、ちらっと見る。
「……いつかって、
いつや」
俺
「分からん」
正直に言う。
「かなり先かもしれん」
「でも、
助ける」
。
「せやからさ」
俺は店員を呼んだ。
「すいません」
「この冷蔵庫と、
この電気カーペット」
「……取り置き、
できます?」
店員は、
一瞬だけ不思議そうな顔をしてから、
営業スマイルで頷いた。
「かしこまりました」
俺は、
もう一度だけ、
RINAとYUTAを見る。
——今は、まだ。
でも、
どこにあるか分からんより、
ずっとマシや。
俺はスマホを見る。
ポイントは、
相変わらず、ほとんどない。
——助けるって、
決めるだけなら、
タダやからな。
⸻
〜つづく〜




