【42話】 スライムと共に
スライムは、
ついてきた。
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言葉が、
伝わっているかは分からない。
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でも。
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なんとなく、
意図は伝わっている。
……はずだった。
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一緒に歩く。
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止まる。
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主人公は、
少しだけジェスチャーをしてみた。
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「……形」
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なんとなく、
形っぽく。
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スライムは、
ぷるんと揺れた。
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そして。
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少し、
大きくなった。
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丸が、
伸びる。
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胴体。
腕っぽいもの。
脚っぽいもの。
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——ヒトガタ。
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「……お」
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主人公が、
一歩歩く。
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にこっと、
笑ってみる。
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さらに一歩。
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振り返る。
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——いた。
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さっき、
映画で見た研究者みたいな人間が。
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「……いや」
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「それは早すぎるやん?」
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「もーちょっと練習いるやろ笑」
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「早いやん、ペースが」
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「俺、まだ2回しか振り返ってへんで?」
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一瞬の沈黙。
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「……ちょっと間、一緒に仲良く旅とか
思った俺、アホらしいやん!!」
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ヒトガタが、
少し姿勢を正す。
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そして、
喋り出した。
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「あの……」
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「ありがとうございました!!」
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主人公の、
思考が追いつかない。
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「私!!
もっかい家族に会ってきます!!」
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「あ……」
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「うん」
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「……良かったな」
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ヒトガタは、
深く頭を下げる。
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「では」
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「なんかポケットにスマホ入ってたんで」
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「ログアウトしますね!」
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「ほんと!!
ありがとうございました!!」
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光。
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そして、
消えた。
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森に残る、
静けさ。
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「……うん」
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「そっかー」
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「いやー、良かった良かった」
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主人公は、
少し笑った。
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——ん?
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「……ポイントは?」
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急いで、
スマホを取り出す。
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ポイント表示。
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0
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「……あ?」
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もう一つのスマホ。
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アルバム。
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スライムの写真。
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そこに、
小さな「グットマーク」がついていた。
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「……はは」
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「まぁ」
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「それはそれで……」
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「ありかぁ〜〜??」
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なんか、
安心したら腹が減った。
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理由はない。
ただ、
急に。
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「……腹減ったわ」
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意味もなく、
街に向かう。
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人がいる。
声がある。
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屋台。
焼ける音。
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油の匂い。
甘い匂い。
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「……うわ」
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美味そう。
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店をいくつか眺めて、
値段をチラッと見る。
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《異世界バーガー》
25ポイント
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「……ぁー」
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「そらそうよなぁ〜」
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無意識に、
ポケットを探る。
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もちろん、
何もない。
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スライムだけのつもりやった。
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助けて、
別れて、
それで終わり。
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……のはずやった。
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でも。
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異世界のご飯。
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正直、
ちょっと気になる。
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肉。
パン。
湯気。
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「……うーん」
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ふと、
思いつく。
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「あ」
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「アイツ……」
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「奢ってくれへんかな?」
つづく




