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【39話】 ですよねー!!

「パシャ!!」


——その瞬間。


森の空気が、

一段、重くなった。


ぺちょん。


スライムが、

止まる。


次の瞬間——


シュゥゥゥ……!!


酸。


横の木が、

じゅわっと音を立てて溶け始めた。


「うわぁぁぁぁ!!」


反射で、

走り出す。


後ろを見る余裕なんて、

ない。


ドロドロ、

ジュウゥゥ——


木が、

地面が、

次々に溶けていく。


やばい。

普通にやばい。


走りながら、

スマホを操作する。


アルバム。

スライム。


……あった!


チラッと、

再生時間が目に入る。


1時間20分


「はっ!?」


長すぎやろ!!


誰が、

逃げながら

一時間二十分の映像見るねん!!


無理無理無理!!


酸が、

肩すれすれを通る。


「うわぁぁ!!」


……待て。


そうや。


ログアウト!!


画面を必死に探す。


あった!


ログアウト(2分)


「2分!?」


なんで全部、

長いねん!!


走る。

避ける。

木が溶ける。


「うわぁぁ!!

 いいいい!!」


視界が、

ぐちゃぐちゃになる。


カウントが、

進む。


30

29

28


足がもつれる。


14

13


もう無理かと思った、その時——


3

2

1


すう〜……


世界が、

引いていく。



部屋。


ベッドの上。


息が、

一気に戻ってくる。


「……よし!!」


……いや。


ちょっと待て。


この感じ。


なんか、覚えがある。


何かしようとすると、

ことごとく裏切られる。


期待した瞬間、

条件が増える。


嫌な予感。


恐る恐る、

スライムのアルバムを開く。


ピ!!


《スライムのアルバム》

※閲覧条件

スライムの半径5km圏内にいる必要があります


…………。


「ですよねー!!!」


スマホを、

天井に掲げた。


もう、

笑うしかなかった。


_______


「くっそ……」


舌打ちしながら、

ポチっと戻る。


さっきと、

ほぼ同じ場所。


木も、

地形も、

記憶通り。


——ただ。


スライムが、いない。


「……ん?」


一瞬、

嫌な予感がする。


でも、

すぐ思い直す。


いやいや。


まだやろ。


半径5キロやぞ?


余裕、余裕。


アルバムを開く。


動画、再生——


壮大な音楽。


一気に、

映画の始まりみたいな空気。


……いやいや。


誰がやねん。


こんな、

何が出てくるか分からん森で。


どんなモンスターがおるかも分からん中で。


1時間20分の映画。


誰が見るねん。


意味分からんすぎるやろ。


……それは、

ちょっと無理や。


そう思った、

その瞬間。


ピ。


スライムは

半径5km圏外に移動しました


「はぁぁぁ!!」


もう、

声も出えへん。


なんか、

一気に来た。


だるい。

めんどい。

全部めんどい。


「もー……

 なんやねんこれ……」


地面に座り込みそうになる。


……でも。


ふと、

思う。


俺、

理不尽なゲーム。


割と、

好きやねんなぁ。



半径5キロ。


……よく考えたら、

割と、いける。


「……よし」


待ち伏せ作戦、

その2や。


一旦、

ログアウト。



家。


必要なもんを、

手に取る。


——古いイヤホン。


片耳だけ、

音が出るやつ。


あと、

ポテチと、コーラ。


食べれるかは、

分からん。


でも、

気分や。



再ログイン。


森。


同じ場所。


今度は、

慣れてる。


枯葉を、

集める。


背中に。

腕に。

頭に。


前と同じ。


いや、

前より手際がいい。


隠れる。


うつぶせ。


スライムを、

待つ。


片耳に、

イヤホンをつける。


もう片方は、

外したまま。


森の音と、

映画の音。


両方、

聞けるように。


……待つ。


ひたすら、

待つ。


怖い。


正直、

めちゃくちゃ怖い。


何が出てくるか、

分からん。


逃げる余地も、

少ない。


そんな、

究極に怖い場所で——


俺の、

地獄の映画鑑賞が始まった。


次回「スライム物語」


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