【24話】やんな?
めっちゃ怖かった。
ほんまに。
思い出そうとすると、
喉の奥がきゅっとなる。
何があったか、
ちゃんとは思い出せない。
思い出したくない、
の方が近い。
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街の外れ。
壁にもたれて、
息を整える。
心臓が、
まだうるさい。
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「……異世界、
舐めてたわ」
誰に向けたでもなく、
小さく言う。
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スマホを見る。
相変わらず、
何も出ない。
説明も、
警告も。
「チュートリアル、
来る気ないな……」
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しばらく、その場で立ち尽くす。
戻る気にもならない。
街の中は、
ちょっともう無理だ。
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視線を、
森の方へ向ける。
暗いけど、
分かりやすい。
「……まぁ」
口を開く。
「異世界やし」
....
..
.
「スライムやろ」
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自分で言って、
ちょっと笑う。
分かりやすい敵。
分かりやすい強さ。
そういうのが、
今はちょうどいい。
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森に入る。
音が変わる。
街より、
静か。
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足元に、
棒が落ちている。
拾う。
軽い。
頼りない。
「……気休めやな」
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少し進む。
さらに進む。
「……おらんな」
想像してたより、
全然おらん。
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その時。
足元で、
何かが動いた。
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ぐにゃ。
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主人公は、
動きを止める。
ゆっくり、
下を見る。
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地面の影が、
ほんの少し、
形を変えた。
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棒を、
握り直す。
心臓が、
一回だけ鳴る。
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「……なぁ」
声が、
自分でも分かるくらい低い。
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「お前」
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「スライムやんな?」
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森は、
何も答えない。
でも。
さっきまで無かった違和感だけが、
確実にそこにあった。
⸻
つづく。




