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7話 結婚式

メディルスとの結婚式はカイラスが言っていた通り、内々でひっそりと行われた。


用意されていたウェディングドレスは代々サレン家に受け継がれている由緒正しいものらしい。上品な細身のそのドレスはレースがふんだんに使われ古めかしさを感じない美しいものだった。


帝国式の結婚式では指輪の交換などはないらしい。リュミエール王国との違いを感じながら女神に宣誓をして、女神の前で誓いの口付けを行う。別段口付けがはじめてでもないライラは自然にそれを受け入れるのだった。


内々で行われた結婚式に参列者はメディルス方の親族だけだ。カイラスはやっと息子の縁談がまとまったのがうれしいのか豪快に拍手していた。

結婚式は簡単に終わってしまった。これでライラとメディルスは夫婦になる。


どこか実感がわかないまま夕食の帝国式の祝い料理達を堪能し、夜が来ればライラはエデルにピカピカに磨かれポイッと夫婦の寝室に放り込まれてしまった。


(終わってしまったわ)


あっという間に終わってしまった結婚式当日にようやっと身体は疲れを思い出したようだ。


あとは通常であれば初夜を迎えるのが慣例だが、メディルスが自分と共に寝てくれるとは思えなかった。

静かに彼が来るのをベッドの上で待つ。


「お疲れ様、ライラ」

「はいメディルスも、お疲れ様でした」


ゆったりガウンを羽織った彼は片手にワインとグラスを2つ持っていた。


「ワインを貰ってきたんだ。一緒にどう?」

「まぁ。素敵」


部屋に置かれている小さな丸テーブルを二人で囲み、メディルスはワインのコルクを抜く。


「帝国では有名なアデラバーラというところで作られているワインでね。これは20年ものだよ」

「高級そうですね」

「そうだね結構値の張るいいものだよ」


乾杯と言ってグラスを合わせ、ライラは渡されたグラスを傾ける。深い紅色の赤ワインからは芳醇なぶどうの香りがした。


「美味しい」

「だろう?私のお気に入りでね、是非君にも味わって欲しかったんだ」

「ありがとうございます、メディルス」


なんと充実した時間だろうとライラは思った。愛することはできないなどと言っているメディルスからは充分にライラへの思いやりを感じられた。


(愛って何なのかしら)


この穏やかな時間に愛がないとは思えずライラはぼんやりと愛というものの定義について考える。ライラも未だスヴェインを想っているが目の前の彼を大切に思っていないということは無かった。


(私も愛せないかもなんて言ったけれど……)


物思いにふけてていたライラを心配そうにメディルスは覗き込む。


「ライラ?どうかしましたか」

「ごめんなさい。ちょっと考え事をしていて」

「ふふ。今日は大変だったから疲れたのかもしれないね」

「これを飲んだら寝ることにします」

「そうしようか」


そんな会話をしながらワインを飲み、軽い雑談をする。

時計の針が真夜中を指す前には二人ともで同じキングサイズのベッドに入り込み、何事もなく、初夜は終わっていくのだった。


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