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口だけ達者の魔法使い

作者: みたたま

よろしくお願いいたします。

高校二年生の桐谷風真きりたに ふうまは、普通の高校生活を送っていた。しかし、彼には一つだけ他の生徒と違う点があった。それは、無駄に自信満々で、口が達者であることだ。


「俺、実は魔法使いなんだよね。最近、学校の周りで何か異常が起きてるし、俺が解決するしかないよね。こんなに強い力を持ってるのは、俺くらいだし!」


周囲のクラスメートは当然、風真の言葉に疑いの目を向ける。しかし、風真はまったく動じることなく、毎日のように自分の力を誇示し、周囲に「俺の魔法を見せてやる」と豪語し続けるのだった。


だが、実際に彼が使えるのは、ただの「風を起こす」程度の魔法でしかなく、それも失敗続きだった。しかも、彼が「使っている」と言っていた小道具、ただの「古びた指輪」や「魔法の杖」とされていたペンライトなどは、全く普通の物だった。


「ほら、見てろ! これが俺の魔法だ!」


風真は、クラスメートたちが見守る中、いかにも魔法を使っているかのように振る舞う。しかし、実際にはただペンライトを振っただけで、風が少し吹く程度。生徒たちは半信半疑、風真の言うことを信じる者はいない。


だが、彼の口だけ達者な姿勢は、次第にクラスメートたちに不思議な印象を与えていく。ある意味、風真の「魔法使い」としての自信と熱意に、少しずつ感化される者も現れ始める。



ある日、風真のクラスに転校生がやってくる。彼の名前は黒崎真奈くろさき まな。真奈は、まるで異世界から来たような雰囲気を持つ少女で、黒髪のロングヘア、目を引く美しい顔立ち、そして冷徹な雰囲気を漂わせていた。


真奈は転校初日から「魔法使い」を名乗り、風真の言葉に対して挑発的な態度を取る。「魔法使いだなんて言って、そんなに偉いのか?」と、風真の自信満々の態度をあざ笑う。


「俺が本物の魔法使いだって、証明してやるよ!」


風真は意気込んで言うが、もちろん実際に魔法を使えるわけではない。そこで、彼はいつものように、手元にあった「魔法の杖」を振ってみせる。しかし、予想外の出来事が起きた。


風真がペンライトを振った瞬間、突如として教室に大量の風が吹き込む。そして、黒崎真奈の周りで、彼が作り出した風が渦を巻き始めたのだ。


「これが俺の魔法だ! すごいだろ!」


周囲の生徒たちは驚きの声を上げた。しかし、風真はそれが偶然に起きたことに気づいていなかった。実は、真奈が「魔法の杖」に隠された古代魔法の力を引き出していたのだ。風真は自分が魔法使いだと信じていたが、実際にはただの「偶然」だったのだ。


その後、風真の勘違いがさらに悪化する。彼は、「自分がついに魔法の力を手に入れた」と信じ込み、さらに自信を深めていく。しかし、実際に魔法が使えるのは真奈の方で、彼女は冷静にそれを観察していた。



風真の勘違いは、学園内で噂となり、彼が「本物の魔法使い」として認識され始める。実際には魔法を使えない風真だが、彼の言動と偶然の一致が、周囲の人々に信じ込ませてしまう。


「風真くん、やっぱり魔法使いだったんだね! すごい!」 「魔法を使えるなんて、まさに伝説の魔法使い!」


そんな声が風真の周りで高まるが、実際には彼が何をしてもただの口だけでしかない。しかし、彼が本当に魔法を使えると信じた真奈は、次第にその「嘘」を面白がるようになる。


ある日、真奈が風真に挑戦する。「あなた、本当に魔法使いなら、私の魔法を超えてみせなさい」と。風真はどうしても負けたくない一心で、「もちろん! 俺は最強だ!」と豪語するが、肝心の「魔法」を使えず、またもや失敗。


それを見た真奈は、微笑みながら言う。


「本当に魔法使いだったら、嘘がバレることもないのにね」


風真は何とか自分の立場を保とうとするが、次第にその口だけの「魔法使い」としての偽りの地位が崩れそうになってくる。だが、ここで彼が一発逆転を目指す方法を考え出す――。



風真は、魔法使いとしての「口だけ」の姿勢を続ける中で、次第に本物の魔法を使えるようになり始める。実は、彼が偶然手にした「魔法の杖」は、ただの装飾ではなく、本物の魔法の力を秘めていたことに気づいたのだ。


だが、風真はそれに気づく前に、さまざまな勘違いが積み重なってきたことを反省し、少しずつ謙虚さを学び始める。そして、最終的に彼は「自分を偽らず、本物の力を手に入れることこそが大切だ」と気づき、魔法を使えるようになった理由は偶然ではなく、努力の結果であると理解する。


一方、真奈は風真に対して次第に興味を持ち、彼との絆を深めていく。そして、風真の「口だけ」の魅力と、ちょっとした勘違いから始まった学園生活の中で、二人は成長していくのだった。

ありがとうございます。

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