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34話 MAKABE GET YOUR GUN!


 ヴェルフェと真壁、そしてシルヴィーの三人がヴィクトリアの部屋の前まで来ると、ヴェルフェが扉をノックする。

 少ししてから扉が開き、そこから出てきたのはマスクをしたヴィクトリアだ。顔が赤い。

 

「ど、どうしたのじゃ?」

「ごめん……カゼひいちゃった」

「大丈夫なのか? ヴィック」


 真壁の問いにヴィクトリアがふるふると首を振る。


「計ったら熱が40度あったんだ……だから今回は一緒に行けないんだ」

「なんと!」

「まじかよ!?」

「やっぱりな」


 シルヴィーがぷかりと紫煙を吐きながら。


「でも、今回の旅で役に立ちそうなもの造っておいたよ」


 三人を部屋に入れ、ヴィクトリアがクリスから木箱を受け取る。蓋を開けるとそこにはピストルらしきものが。

 銃口からはフック状のものが顔をのぞかせている。


「これって、俺のピストルとは違うような……?」

「グラップネルガンだよっ。高い塀に向かって撃てばワイヤーが伸びるんだ。トリガーをもう一度引けば楽に登れるよ」


 説明が終わると、ごほごほと咳き込む。

 

「まさか、お主ずっとこれを造っていたのか? 無茶をしおって……じゃが、助かるぞ!」

「これくらいどうってことないよ。あ、そうだ」

 

 奥に消えたかと思うとすぐまた戻ってきた。


「はいこれ。改良型だよ」


 そう言って真壁にリボルバーを渡す。


「さんきゅ。でも見たところ、前と変わってないような……」

「そこの撃鉄の隣のレバー押してみて」


 言われたとおり、レバーを手前に押してみる。すると銃身が半分に折れ、シリンダーが勢いよく飛び出す。


「うおっ!」 

「ね、スゴいでしょ? バネ仕掛けでこしらえてみたんだ。これなら弾丸がすぐに排莢できるよ。それとね」


 ふたたびクリスから小箱を受け取る。


「麻酔弾だよ。命中したらしばらくは目を覚さないからね。致命傷にはならないから安心していいよっ」


 はいと小箱を手渡される。開けてみると中には先端に針のついた弾丸が規則的に並んでいた。


「十発しかつくれなかったから慎重に使ってね」

「これなんだ?」


 真壁が箱から取り出したのは金属の筒状のものだ。


「入れてたの忘れてた! 消音器だよ。それを銃口に取り付けると発砲音が抑えられるという優れものだよ」

「サイレンサーってわけか! やっぱりヴィックはスゲーよ!」


 サイレンサーを旅装束のポケットの中に入れる。


「ふふん。ボクにかかれば造作も……」


 ふらりとぐらついたので、すかさずクリスが受け止めた。


「ソロソロ ヤスマナイト イケマセン」

「ん、そだね……」

「クリスの言うとおりじゃ。後はわしたちに任せよ」


 クリスに抱きかかえられ、寝室へ向かおうとするとヴィクトリアが「あ」と声を。


「忘れるとこだった。これイタルに貸すね」


 そう言ってゴーグルを外し、真壁の頭に被らせる。


「おわっ」

「色んな機能が付いてるからね」

「あ、ああ……ちょっとのあいだ借りるぜ」


 ヴィクトリアが「ん」と頷く。


「絶対、無事に帰ってきてね……」


 クリスに抱きかかえられたヴィクトリアが名残惜しそうに見つめながら。


「ん、トーゼンだろ!」


 ゴーグルを下ろして装着し、にかりと笑いながら腕を組む。


「俺たちはパンデモニウム生徒会だぜ」

「うむ。安心して静養に励むのじゃ」

「さ、もうええやろ? あんたは休んで、あとはウチらに任せとき」

 

 ぱたりと扉が閉じられ、三人は馬車のもとへと戻った。


 ◇◆◇


 馬車ががらがらと音を立てながらブルジア王国めざして駆ける。


「しばらくはこのまま道なりだヨ」

「OK」


 コンパスを片手に地図を見るテンの隣で手綱をとるティアが応答を。

 一方、荷台の後部では真壁が幌から外を見つめている。乗ったときからずっとこの状態だ。

 

「真壁よ。ヴィクトリアのことを考えておるのか? そう心配せんでも大丈夫じゃ」

「そうですよ! クリスさんがいますから!」

「そうそう。ウチらに任せとき」

「あ、うん……」


 上の空で返事する真壁にティアが溜息をつく。


「そんなんじゃ良い仕事できないよ。恋人のことは忘れて集中しな」

「いやっ別に恋人ってわけじゃ……!」


 うろたえる真壁の反応を見てティアがあははと笑う。


「こりゃ失礼! もうできてるのかと思ったよ!」

「だからそういう関係じゃないってのに……」


 ぶつぶつとこぼしながらふたたび外を見る。次にホルスターからリボルバーを取り出し、ポケットからサイレンサーを取り出した。

 金属製の筒を銃口に回しながらねじ込み、最後にぎゅっと締め付ける。

 必ず無事に戻ることを誓うかのように――――。


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