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29話 インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア 前編


「よく来たわね」


 真壁が扉をノックすると、スカーレットがドアを開けるなり言った。


「他には誰も来てないわね?」


 ドアから顔だけ出して左右を確認するが、真壁とヴィクトリアの二人のみだ。


「さ、入って」

「それにしてもびっくりしたよ。目安箱にいいんちょからの要望が入ってたなんて」

「俺とヴィックのみの指名で、しかも差出人が『S』とくれば、いいんちょしかいないもんな」


 真壁が要望の紙をひらひらさせながら。


「いいんちょじゃなく委員長と呼びなさい! とにかく二人に来てもらったのは相談事があるのよ」


 Sことスカーレットがふぅっと溜息をつきながら胸の前で腕を組む。


「相談事ってまたモデルのお願いとか?」

「それならお安いご用だよっ」


 ヴィクトリアがどんと胸を叩く。


「……今回はモデルじゃないわ。まずこれを読んでほしいの」


 差し出されたのは束になった漫画の原稿だ。ずしっとした重みがある。


「ついに完結した作品よ」


 どれどれと二人がページをめくる。漫画は以前モデルをした際の話の続きらしい。

 やはり王と侍女の身分違いの恋愛劇が繰り広げられる。

 しばらくしてから読み終えたふたりが原稿を返す。


「そ、それでどうだったかしら?」

「良かったよ! ふたりが結ばれてハッピーエンドだったし!」

 

 ヴィクトリアが笑顔で応えたのでスカーレットはひとまず胸をなでおろす。


「それで、真壁さん。あなたの感想は?」

「んー……というか俺、そもそも少女漫画あんま読まないしなぁ……ただ」

「ただ? 何かしら?」

「や、なんつーか……設定とかもそうだけどキャラとか展開がありきたりだなーって」

「ああやはり……」

 

 真壁の率直な感想で委員長が落ち込む。


「ど、どうしたの? いいんちょ」

「いいんちょじゃなく委員長よ。実は……」


 顔を上げたスカーレットが話し始める。


 事の始まりは三日前に(さかのぼ)る――


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