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第18話 代役

 サタンの元に連絡が来た。

「ショーの出演者が急病で、代わりに出られないか?」

 ヒゼニーランドからの連絡だ。体験時の登録がまだ生きていたらしい。


「サンタの役だ。魔人じゃないが大差ないだろ。人間役には着ぐるみは使わない。踊る必要もないからすぐできる。」

 娘の仕事も気になってたし、ちょうどいい。

「やってやろうじゃないか。ハッハッハー。」

「そこは、ホッホッホーだよ。」


 キャラクタは他にはミツギくんと恋人のマネーちゃん。クリスマスイブに喧嘩した二人の仲をサンタが取りもつというストーリーだ。


 ガイドツアーの中にはあっ子はいない。

「これならばれることもない。」

 サタンは安心して舞台の袖で出番を待っていた。


 ステージではミツギくんがマネーちゃんと大喧嘩。ミツギくんは一人、夜空を見上げている。

「あー、なんてことだ。せっかくのクリスマスイブなのに台無しだ。サンタさん、どうかお金持ちのマネーちゃんと仲直りをさせてください。」


「ホッホッホー。悩める青年よ。願いを聞いてやってもいいぞ。それには何か代償が必要だ。」

 サタンは出てきて驚いた。

「何で、お前がここにいるだよ。」

「パパこそ何してるの。」

 台詞は声優が吹き込んだ収録済みの内容が流れてる。

「仕方ないでしょ。急に代役を頼まれたの。」

「こっちも、臨時で頼まれたんだ。」

 ミツギくんの中にいたのはあっ子だった。

「何で、女のお前が男役になってるんだ。」

「男女逆のほうが、オーバーアクションになっていいんですって。」

「じゃあ何か。マネーちゃんには男が入ってるのか?」

 最後の仲直りには二人のキスシーンがある。

「いかんぞ。いくら着ぐるみ越しでも男とキスなんて。」

「いいから、つべこべ言ってないで芝居をして。」


「お金はない。僕にあるのはこの美貌とスタイルだけ。」

「それなら、お前の背をいただこう。」

 ミツギくんはシークレットブーツを脱いだ。観客には彼が本当に小さくなったように見える。


 舞台は回転しマネーちゃんだけのステージ。

「サンタさん、どうか格好いいミツギくんと仲直りをさせてください。」

「ホッホッホー。悩める少女よ。願いを聞いてやってもいいぞ。それには何か代償が必要だ。」

 サタンは再び出てきてマネーちゃんの傍に行く。

「お前か、娘に手をだしたら・・・」

「お父さん、ウダです。」

「なんだ?なんでここにいる。」

「あっ子に頼まれて。」


「私にはお金しかない。」

「ならそれを全部いただこう。」

 綺麗なドレス姿のマネーちゃんが、ボロボロの衣装に変わる。


 二人は別れた場所で再会する。

「背の低い僕にはもう興味はないよね。」

「貧乏な私じゃ相手してくれないわよね。」

 二人はこのまま別れようと言った。

「ホッホッホー。若者たちよ。大事なのは心の声を聞くことだ。」


「お金なんて本当はいらないんだ。でも会ってもらう口実が必要だった。」

「スタイルなんて関係ない。ちょっと周りに自慢したかっただけなの。」

 二人は互いの心の声を聞き、駆けよって抱き合いキスをした。


「パパったら、私が彼意外とまねごとでもキスするわけないじゃない。魔女は操が固いんだよ。だからマネー役を変わってもらったの。」

「ホッホッホー!」

 サタンは嬉しくなってつい声を出してしまった。

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