表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/66

第16話 家訓

 いつものように、押入れから出ようとすると通れない。

「結界か?」

「娘さんのものですかね。」

 ベルぜブブが結界を調査する。

「随分と強力だな?」

「なにせ魔王の娘ですからね。」

「表へ回れ。」

「家全体が結界におおわれてますよ。」


「結界の外からじゃインターフォンも押せませんよ。」

「おーい。居るんだろ?」

 外から呼んでも返事が無い。部屋のカーテンは閉まったままだ。

「こうなったら、何か騒ぎを起こせ。警察に確かめてもらおう。火事とか強盗とか。」


「いくら悪魔でも、そんな悪事は勝手にできません。」

「だれかにサインを貰おう。どなたか、サインをお願いします。娘が大変なんです。」


「パパ?何してるの?」

「署名活動ですか?僕でよければ協力しますよ。」

 あっ子とウダが通りの向こうから駆け寄ってきた。

「部屋にいたんじゃないのか?」

「買い物よ。」

「そうか、安心した。で、何を買ったんだ。」

「ベビー用品。」


「ああ、遅かったか。できたんだな。できちゃったんだな。で、式はいつにする?」

「来週。」

「随分早いな。」

「それが教会なのよ。」

「教会はいかん。」

「でしょ。だからさっきシンプに渡してきたんだ。」

「神父に会ったのか?正体はばれなかったか?」

「ええ、バイト仲間の新婦に会って、招待は断ってきた。」


「お前は、できちゃった婚なんてまねするなよ。」

 サタンはウダには聞こえないように小声で娘に言った。

「古いなあ。」

「でも、婚約はしたんだよね。同棲もしてるんだよね。」

「同棲じゃなくて、同居。魔女は操が固いって知ってるでしょ。もっとも、彼なんて互いの部屋の境界線を超えてすら来ないんだけど。あまりによそよそしいから、ちょっと不安なんだよね。」


「ウダくん。娘と結婚する気はあるんだよな。」

 サタンは、あっ子に聞かれないようにウダに話をする。

「もちろん。」

「他に好きな相手とか、気になる人とかいたりしないのか?」

「いるわけありません。」

「子供とか予定は考えてるのかな?」

「母は一刻も早く孫の顔が見たいっていいますけど、あっ子は僕にとって女神みたいな存在です。そばにいるだけで幸せなんです。父は、お前に万一のことがあるかもしれないので、結婚するまで子供は作るなって言うんです。」

「そこはお父さんが正しい。いやあ、気が合うなあ。」


「彼のお父さんは立派だ。きっと大丈夫。それでも豹変するやつもいるからな。万一の時はパパが八つ裂きにしてやるから。ところで、何で結界が張ってあるんだ?お前も入れないだろ。」

 サタンは娘に不審に思い尋ねた。

「留守に勝手に入ってくる人たちがいるから。帰ってきたら解除すればいいだけだし。」

「泥棒か。そいつは物騒だな。」

「もっとたちが悪いかもね。」

 そういい残して、あっ子とウダはさっさと家の中に入ってしまった。


「警護の悪魔を増やせ。」

「その必要は無いと思いますよ。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ