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第13話 面接

「決めた。わしもバイトに行く。」

 サタンはまわりの悪魔がとめるのも聞かずに、娘と同じ遊園地のバイトに申し込んだ。

「悪魔だとばれないようにして下さい。今度は人間の格好をしてくださいね。」

 一人で面接に行くサタンをバルゼブブは心配した。

「そんな、へまはしない。」


「では、次の方。マオウ・サタンさんですか。珍しいお名前ですね。で、キャスト志望ということですが、特技はありますか?」

「魔法が使える。」

 サタンは炎を出して見せた。

「マジシャンですか。あいにく、今の所空きがありません。ダンサーは、ちょっと無理ですかね。」

「手品じゃなく魔法。どうです?強そうでしょ。」

「見た目は確かに魔人にうってつけなんでしょうが、キャラクターはすべて着ぐるみなので見た目は関係ないんですよ。とりあえず日当は出ませんが、一日体験ということでよければ奥で説明を受けてください。」


「はい、新人さんは、モップを持って園内の清掃からはじめてもらいます。若い人は外をお願いします。おじさんはイメージが崩れるので、目立たないように室内で。」

 サタンが連れて行かれたのはトイレだった。

「男性は男子トイレ。女性は女子トイレをお願いします。屋外トイレの場所は約二十箇所ほどあります。地図をお渡ししますのでエリア毎にわかれて効率よくお願いします。」


 悪魔はさぼらない。仕事には真面目だ。

「なんで、公衆トイレの掃除なんだ。」

 ぶつぶつ文句を言っていると、

「次はこちらのアトラクションになります。予約はしてありますから、はぐれないように。」

 あっ子が子供連れの客を引き連れてやってくる。どうやら、オプションのツアーガイドをやっているようだ。

「おしっこ。漏れちゃう。」

 男の子が叫びだした。

「トイレはあちらになります。」

 皆でサタンの掃除しているトイレに向かってきた。サタンは帽子を深くかぶると下を向いた。

「清掃中ですか?」

 サタンは首を横に振った。子供の小便は勢いがいい。便器をはみ出して、四方に飛び散る。


「よかったね。間に合ったね。」

 親子は挨拶もせず当然のごとくその場を去って行った。

「せっかく綺麗にしたのに、汚すだけ汚して、一言もなしか。」

 サタンは現代人の心の貧しさを垣間見た気がした。


「体験者には日当はでませんが、みなさんよく頑張ってくれましたので、謝礼が出ます。」

 今まで悪魔たちに給与を渡す側だったサタンにとって、初めてのバイト代だ。わずかとは解っていてもドキドキする。

「はい。レストランに土産物屋など園内で使える割引券です。」


「あれ、今日はバイトいかないんですか?」

「人間が稼ぐっては大変なんだなってしみじみ思ったよ。」

「悪魔だって大変ですよ。」

「そうだな。契約一つ取るのも簡単じゃなかった。」


「他人と同じことをやっていては稼げません。違うことをやることに意味があるんです。テッペンへの道はまだまだです。」

「お前は優秀な秘書だ。まったくその通りだ。地獄乱土を造ろう。キャストは悪魔たち。人間たちをおもいっきり怖がらせてやる。」

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