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第11話 初デート

「なんとか別れさせる方法はないのか。」

 サタンはいらつき焦っていた。

「契約書にサインしちゃってますからね。」

「まだ仮だ。娘がサインしなければ無効だ。」

「だといいんですがね。」


「今日も監視にいくんですか?」

「もちろん。母親はもう亡くなってるんだ。そうだ、わしが同居するってのはどうだ。外国から戻ってきたとかなんとか。」

「父親として籍も入ってないんですよ。変な噂がたちますよ。」


「今日はどこかへ出かけるみたいですね。デートですかね。」

「おいおい、まだ会ったばかりだよ。普通、保護者もついていくだろう。」

「普通は、ついていきません。」


「歩きのようですね。」

「このまま尾行するぞ。」

「何を話してるんでしょうね。」

「わしの地獄耳でも遠すぎて聞こえん。こら手をつなぐな。まだ早い。」


「ニゼニーランド?」

「有名な遊園地ですよ。色々なアトラクションがあるらしいですよ。」

「入場券って何だ?」

 サタンは入り口のキャストに尋ねた。

「ハッピーハロウィン!あら、悪魔さんですか?本日は仮装のお客さんは無料です。」


「ビックリ・サンタ・マウンテンに入っていったぞ。わしらも行こう。」

「本日は、ビックリ・サンタ・マウンテンにようこそ。みなさんはこれからソリに乗って、サンタさんのお手伝いをします。」

 サンタの格好をしたキャストの女性が元気に解説をする。

「入り口で渡した袋の中に皆さんが配るプレゼントが入っています。ソリが山を下る間にそのプレゼントを途中で待っている子供たちに渡してください。」

 ジェットコースタが一周する間に、プレゼントの箱を的に投げて入れるらしい。

「それじゃあ、出発!」


「社長、大丈夫ですか?」

「人間はこんなものに乗って楽しいのか?」

 サタンは初めてのコースターに顔面蒼白になっている。

「次、行きますよ。イッツ・オスモウ・ワールドですって。」


「ここはイッツ・オスモウ・ワールド。お相撲さんたちの世界です。皆さんにはちゃんこ、お相撲さんの食材集めをしていただきます。レーザーガンで食材を撃ってください。どんな料理ができるかは、集めた食材によって変わります。出口で確認していってね。」

 ボートで世界中を旅しながら、一緒に乗った皆で食材を集めていく。


 でかい体重。だれだってぶつかれば投げ飛ばす。優勝願い横綱目指そう。相撲の世界。願いは一つ。思いは同じ。土俵は丸い。鍋一つ。


 テーマ曲が流れる。

「社長、ちゃんと狙ってください。」

 ベルゼブブは役目を忘れて夢中になっている。

「贖罪集めって神の仕事だろ。」

「動物とか野菜とかです。人間は撃っちゃだめですよ。」


「ごっつぁんです。」

 最後に力士が、出来上がったちゃんこを食べるCGが流れる。ちゃんこのカロリー数によってエンディングが変化するらしい。


「牌底ニンマリ・スマイル、こっちはアクマトピアですって。」

 ふらふらのサタンを尻目に、ベルゼブブはすっかりはしゃいでいる。

「おい、やつらはどこいった?」


「こんなところで何してるの?」

「何って、そりゃなあ。」

 あっ子に見つかった。

「仕事だよ、仕事。契約者を探してだな。それより、お前こそ何だ?」


「あー、親が見に来るデートなんて最低。」

「いいじゃないですか。皆で楽しましょう。」

 ウダが仲裁をする。

「いいやつじゃないか。そうと決まれば、次は何だ?」

 サタンはすっかりご機嫌になった。

「これからパレードがあります。」


 悪魔や魔女などに扮した一団が踊りながら通過していく。

「ハッピーハロウィン!」


「悪魔にとっちゃ、ハッピーでもなんでもない。ジャックのやつを思い出すだけだ。」

 地獄では不名誉な話として伝わっているのだ。


「結局、お土産まで買わされて、人間の親ってのはこんな苦労をしているのかね。」

 口ではこういっていてもサタンはとても楽しげだった。

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