226話 姿を現すレイドボス②
「…力、貸してくれるか? 『ストラトスフィア』。」
短く力強い唸り声。
再び翼を広げ飛び立つと同時に、感情そのものに近い言葉が思考の中に響く。
『来て!』
前に一緒に戦った時と同じような、意識だけ引っ張られる感覚。
落ち着いた時には空へと駆け上る視界。あの子、ストラトスフィアのものだろう。
あの時の事を思い返し、今一度行う。
ストラトスフィアの身体と魔力の扱いを預かり、それで浮遊鯨と戦えるサイズの二足竜の姿を、憑装召喚の要領で実体として纏い。
そう考えると慣れたものだ。まだまだ集中力に余裕がある。
一緒に創り出したハルバードとロロも、普段からすれば規格外のサイズだろう。
そして辿り着く高高度。
どこかへと飛び去ろうとするオロチ、しかし引力に寄せられるように引き返し漂っている。
今の視点を以てしても圧倒的なサイズ感。こちらの存在に気付き寄ってくる程、ただそこに居るだけで威圧感。
遅れてエンがやってくる。今の状態だと、乗ってる竜ごと手のひらサイズだ。
「伝言。地上で再封印の準備を進めるから、どうにか地上まで落として、だって。
あと私が援護するから、気を引くのお願い。」
『おっけ。』
それは音声でなく、意思の言葉として発せられた。
エン達が後方に下がり、オロチと相対する。
轟く咆哮、敵対の意思。
術の準備だろう、持続的な電気の音を背後に、オロチに向かっていく。