223話 当日を迎え④
「…案外、いきなりでもそれなりにできるもんだな。」
そう言うショウヤの後方、大型ロボットが手でショウヤを護っていた。
「それ、一体…?」
目的を忘れ、漏れる呟き。
背後のロボが立ち上がる。5m程の、丸みを帯びたタイプのデザインだ。
「オレだってなぁ、何の手立ても無しって訳じゃねぇんだよ。
長くはもたねぇ、さくっとやんぞ!」
弾かれた鳥型の塊が、空中でターンし再びショウヤに向かう。
杭の設営は完了し、結界が展開されている。そっちの心配はいらないだろう。
ショウヤはロボの裏に周り、ロボのカウンターパンチが炸裂する。
弾かれた鳥型に、ロロが喰らいつく。そうだ見惚れてる場合じゃない、ハルバードを改めて強く握る。
もつれ合い浮遊しながらも、高度が下がってきた所に一振り。鳥型の腹を割く。
水風船が割れるように鳥型が弾ける。けど今度は油断しない。
弾けた中から更に小さく、再び四足獣の形。大型犬くらいのサイズだろうか。
しかし襲っては来ず、むしろこちらに背後を向け駆け出す。
ちゃんと倒しきった方がいいのだろうが、今はそれよりも優先すべき事。
「ショウヤ、大丈夫か!?」
立ってるのがやっとの様子のショウヤ、ロボの動きもぎこちない。
分かる、俺も初めて魔界に行った時しんどかったし、ロロの前身であるウルフも最初はゲームで見たモーションの模倣で精いっぱいだった。
けど、ショウヤの眼差しはまだ敵を見据えていた。
「あぁ、もうなら少しやれる。
…こういうのって、名前があるとより強くなる、んだろ?」
ギミックじみた動きで、ロボが変形する。人型から、バイク型に。
「突き抜けろ、『フォトン・オーバーランナー』!」
そのバイクが自走し逃げた敵を追い、魔力の煙へと散らせていった。