214話 ロロの行く末④
ロロの争乱から、しばらく時は過ぎて。
暇と合わさり余計に寒さを感じる冬は、今日で初雪を迎えた。
…とは言っても朝には止んでて、その大部分は溶けていて。路肩に掃除され固まった氷が、明け方までの出来事を物語っている。
ただ、部屋の前にはそのまま残っていて、薄くもシャーベット状の雪が土を隠し白く染めている。
そしてその上では、ツノと翼の目立つ子犬がはしゃいでいた。
ロロの事の解決に自信が無かったわけではないが、思念内とはいえ大きく弱体化した事、一度暴走した反動、封印の影響で意思疎通ができなくなっていた事から、不安もあった。
だからこうして再び召喚体で動き回ってる姿には、かけがえのない安心感がある。
まだ戦力とは到底言えないけど、少しずつ魔法の感覚は戻ってきている。
…それとは別に、満月の夜の人狼化は相変わらずやってきたけども。やっぱり封印で全部解決なんて都合のいい事は無かった。
最初に戻った魔法の感覚が、ロロとの意思疎通だった。
それで、ロロから色々と聞いた。呪いが混ざり合ったままで混沌としていたのが整えられたからだろうか、以前よりも明瞭にロロの意思が伝わってきた。
暴走する前、ロロの根底にあったのは劣等感だった。
敵が強くなっていったり、俺が戦いに慣れて戦力として上がっていく傍らで、自身に変化が無い事に焦りを感じていて。
それが呪いとしての本能のような部分、ハルルに制圧された時に沈静化してたものと混ざり合い。
結果、強くなろうとする想いに喰った呪いも混ざっていって、暴走に呑まれた、というのが経緯との事。
正直、あれでよかったのかという迷いはあった。
どこまでを「ロロ」と見るべきだったのか。あの黒い混沌も部分も、広く見ればロロの一部だったのではないか。
もしそうだとしたら、その混沌を取り除いた事は、ロロをいいように作り変えてしまったのではないか、と。
けど、ひとしきり走り回った後、隣で居眠りを始めたロロ。それが、ロロからの答えだった。