211話 ロロの行く末①
ここは…自宅前の道路?
いや、そんなはずはない。確かソウクロウに付いて討伐に向かって、ロロが暴走して。
止めようとしたらロロが襲い掛かってきて、応戦して。
じゃあ、ここは夢の中とか深層意識とかそういう系のやつか?
だとしたらこの場に誰も居ない事も、目の前の黒い塊を何故かロロであると認識してる事にも納得がいく。
大人しくなって失念していたが、あの禍々しい姿を見ると、思い出させられる。
…そうか、そうだよな。
ロロって元々呪いなんだよな。狼の姿で忘れかけてたけど、誰かが誰かを傷つけようという悪意から成り立って、それが俺に行き着いたもの。
これまで戦ってきた怪異たちも、元々は自然の中の危険を注意喚起する伝承だったものが、今や怖がらせる方が目的の怪談となって、その想念によって極端化したもの。そう考えると、存在としてロロと遠からず。
けどそれで言えば、伝承から神格化かそれに近くなったものだってある。学校近くの神社の狐なんかはそのパターンだ。
双方の違いはただ一つ「人にどう思われてきたか」。ソウクロウが言ってた呪いと呪いは同じとは、まさにこの事か。
思い返せば、ロロにだってそれは当てはまる。
最初はただ害を成す呪いだったし、俺もそう思ってた。だから最初に召喚に成功した時に、俺に襲い掛かってきた。
それがハルルに制圧されて、大人しくなって。それ自体も俺の「イヌ科へのイメージ」が影響してたのかもしれない。
それ以降は多少なりとも意思疎通できるようになって、そんな悪い奴じゃないって思い始めて。
ただ食った怪異に染まっていって、それにつられて暴走しちゃっただけで。
なら、答えはもう決まってる。
俺がロロを信じる限り、完全な黒にはさせない。
そう思い、黒い塊に歩み寄る。