203話 その先にある②
「珍しいですね、ユートさんの方から聞きたい事があるなんて。」
日を改め、ハルルと連絡をつけての会合。
「教えて欲しいんだ、魔界がどういう世界なのかを。」
「…と言われても、具体的な要望によっては私の専門外ですし、基本的な知識しかありませんよ?」
「前にさ、この世界は向こうの世界と同じ歴史の平行世界で、向こうの世界のの神話時代ってのがこの世界の今って言ってたよな?」
ソウクロウとの話の中、何か引っかかるものがあった。
後になって思い出し分かったのが、以前ハルルとの話の中でも出た、神話というワードだった。
「そう聞いてます。」
「という事は、その『神話』が今の戦いのひとつの結末の形、って事だよな。どう伝わってるんだ?」
「そうですね……。
地方の小規模な信仰は数あれど、最も歴史の深いものがゴデュラ信仰というもの。
魔法の6属性を司る『六属の祖』の6の神々、その中の長である『ゴデュラ』を最高神とする信仰のひとつです。」
「魔法の6属性って、前に教えてくれたやつか?」
「そうですね、私も含め私たちの世界の者が魔法として行使するものは6つの属性、及びその組み合わせによるものとされています。私の場合は炎と風と光を扱え、組み合わせとして風と光を合わせれば雷になる、といったように。
ゴデュラ信仰は、その起源とされています。」
うろ覚えになっていた情報を、ハルルの話でちゃんと思い出す。
「そのゴデュラって神が居た時代が、この世界線での今のタイミング、と?」
「そうですね、大きな出来事で言えば『魔法という存在が一般的になった』時です。」
「つまり今でいうところの『敵』が勝って、世界の常識が変わった、と。」
「…こちらの皆さんのスタンスを見るに、そうなりますね。」
ちょっと気になる、淀んだ言い方。
「いや、それ自体はいいんだ。
ただその結果どうなったのか、ただただ知りたい。」
シンプルな好奇心ゆえの問い。
それをハルルも察してか、声の調子を変えて返す。
「そうですね、改めて最初から順を追いましょう。」