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202話 その先にある①

「もうひとつ聞いていいか?」

 思考の連鎖の中、更に浮かんだ疑問点。

「もういひとつと言わずとも、疑念があるのなら聞くがいい。」

「もしこのままこの辺りの魔力…妖力が上がっていったら、不都合が出たりするのか?」


「不都合、とは?」

 と探るようにソウクロウが聞き返す。

「前に敵の…『土人形の主』って呼び名で通ってるんだっけ、そいつにそそのかされた時にさ。

 その話に乗るつもりは無いし、そう答えた。けど、冷静に考えてみた時に、一帯の魔力が上がる事自体はそこまでのデメリットなのか?って思ってさ。」

 あちら側に付く気に関しては、一切無い。

 けど、それはそれとして話の内容には確かにと思うところはあった。

「確かに大幅な増加は抑え込めれている現状、変化は感じにくいだろうな。

 しかし、怪異の強さや規模が上がってる事からも分かる通り、着実に進行はしてしまっている。」

「けど、それでも怪異を抑え込めれてはいるんだろ?

 そりゃ人手が要るようになるのは被害と言えるだろうけど、逆にそれで済んでるとも言える訳で、その話自体には反論できなくて。」

 思考の間ののち、ソウクロウが返す。


「ところで、貴様は幽世(かくりよ)の事は知っているか?」

「あぁ、何度か行った事もある。」

「ならば、幽世の特色で思う所はないか?」

「思う所って言われても、実体と霊体が逆転して、こっちの世界と同じ場所もあるけど歪んでて…それくらい。」

「ならば、その幽世の『歪み』は、何を(もっ)て発生していると思う?」

「何を以てって、確か遠くの場所が近くになってて……。」

 思い返す。どこまでの範囲に歪みは無く、どこに歪みがあったのか。

 神社の境内では特に何も無くて、その外は空間が省略されて。その違い……。

「…神社の内側は歪んでなくて、外の空間が圧縮されてる?」

「それも正解の一例だな。

 幽世は妖力の世界、こちらの妖力が高い場所ほどあちらの空間も強くなり、逆もまた然り。

 そして、妖力が高まり一定の値を超えた時、現世(うつしよ)と幽世の境目が無くなる。」

「境目…えっ?」

 想定を超える返答に、まともに言葉が浮かばなかった。

(もっと)も、それほどに至った事例は、ちゃんとした記録には残っていない。故に、最悪の想定も計り知れない。」

「じゃあ、ちゃんとしてない記録になら?」

「あぁ、伝承の中で改変されながら伝わり、記録としては不正確な話になる。

 創造や創世、つまるところ神話と呼ばれる時代。それが現世と幽世が同一の世界だったのではないか、と予想される。」

 なんかもう規模が上がりすぎて、想像がつかない。

「……とりあえずやばい事だけは分かった」

「正直なところ、この僕も同じ感想にしか至れぬ。

 それほどに、最悪の規模は見えぬのだ。」

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