198話 進化と進歩①
再びの林間戦闘。
大目的としてはこれまでと同じだが、戦力面は徐々に変化していっている。
今回、実験的なものとしてなるべく早く片付けてほしいとの事だ。
改良を加えた魔法銃がどれくらいの戦果を上げられるのか、一例として見たいんだそうだ。つまるところタイムアタックとして。
一度気を改め戦闘準備、魔力を纏い人狼時の姿を模す憑装召喚、並行してロロも喚びつつ。
そして今回のメインとなる魔法銃。素体にしたおもちゃ銃は同じ物を使ってるから、見た目は同じ。
だけど内部構造が変わったのはすぐ分かった。実戦の前に試し撃ちにと魔力を込めると、吸いつくように装填されていく。
そして虚空に向けてトリガーを引く。基本方針はあえて変えずの散弾状、だけど範囲はやや狭くなって、その分弾の密度が上がってる。
さて実際の威力のほどは、と思いつつ次の本番用の弾を装填する。
普段なら邪魔の多い林間というロケーションも、憑装状態ならむしろ壁蹴りの足場。武器が長物から拳銃型に置き換わった事で、それがより際立つ。
それにロロ経由より直感的な範囲探知。考えるよりも早く、直感的に取るべきルートが見える。あとはそれをなぞるだけだ。
まずは手近な一団。以前のような取りこぼし無く、殲滅しきれる威力はある。
それを確認するや否や、次の標的。移動しながらの魔力装填。
以前は左手も添えて意識しないと装填できなかったが、今は持ってる右手だけからで簡単に行える。
しかし持続度外視の超消耗。魔力と共に体力もごりごり削られてくのを感じる。
その分、速度で補う。もう討伐確認の目視の時間すら惜しい。一撃入れたら移動し、魔力探知の方で消失を確認する。
まだ銃での立ち回りが探り探りで雑な戦い方だが、それでも取りこぼしは無い。便利なものだ。
そんな移動のさなか、探知の端にふと見つかる強い反応。
事前情報では強いのはいないとの事だったが、そんなのはすぐに揺らぐ環境。順当なだけでは済まない事も想定の内。
一度気を締め直し、その反応へと向かっていく。