190話 トリック・オア・トリート①
修学旅行に行ってた間も、当然ながら事態は進んでいて。
ゴーストファインダーの予告外の妙な怪異の暴動だとか、魔界の人たちの配備範囲が広がっただとか、色々あったらしいけど。
とりあえず気にしないといけないのはコレだ。
「やっぱ、今年もやるんだな……。」
もしやと思って開いたら、やはり例の位置情報ゲームアプリ「ゴーストファインダー」に、お知らせが来ていた。
「ハロウィン・レイドパーティ」と称された期間限定イベント。今度は全国各地でリモートレイドが多数開催され、3陣営で占有度を争うイベントだそうだ。
詳細は既にお知らせから確認できる。完全に均等な配置ではなく密度の高い地域はいくらかあるが、ここもそのひとつに入っている。
思い出す、去年の今頃。
ハロウィンの特殊レイドイベントに、近場の廃病院が選ばれて。
様子を見に行ったらショウヤも来てて、範囲が広い怪異に遭遇して。
あの時はまだ一瞬の召喚で限界が来るくらいだっけ。それが今や長時間維持できるようになって、呪いをどうにかする都合で召喚体自体が独自の意思を持って。
色々変わって、それを受け入れて。
去年は自分は戦力外で、起こったであろう戦いを見るにすら至らなかった。
けど今は違う。実力が足りてるかどうかはともかく、多少なら戦力になる。
その舞台が敵が用意したものと思うと癪ではあるものの、同時に変化への期待も少しだけある。