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182話 修学旅行中の波乱②

 興味任せに「声」のようなものを出所を追う。

 この神社の境内、そのどこかから来ているようだった。


 その途中、不意に世界がゆらつく感覚。

 まさか、と思い来た道を振り向く。丁度鳥居を通り抜けたところだ。

 世界が青色がかって見え、絶え間の無かった人通りは誰一人見当たらなくなっていて。

 この感覚には覚えがあった。以前一度踏み入った事がある、隣り合った異界「幽世(かくりよ)」だ。

 慌てて道を引き返す。が、同じ鳥居を逆に通っても世界は同じまま。

 一度落ち着いて状況を考え直す。幽世に迷い込んで、入口だった所は出口にはならない。

 …これ、俺、やらかしたやつか?


 下手に動いたら事態を悪化させかねない。が、動かず解決する話でもない。

 入口だった場所を見失わないよう注意しつつ、周辺を探る。

 遠景は変わった気がするが、この周辺の地形は変わっていない。パンフレットの境内マップも、今のところ役に立ってる。

 まずは情報、一番見通しのいい中央の参道へ。


 霊的な存在も相変わらず身を潜めている。しかしこうなった以上、それらを探して頼るしかない。前に幽世に来た時も、出入りするのに神社の狐の力添えがあった。

 どこかに居るとして、居そうな場所は…この先にある本殿か。流石にそこに行けば何かつかめるだろう。

 まずは向かってみるしかない。



 と歩き始めた時だった。

 不意に縄に巻かれ、横に引き寄せられる。直後、さっきまで居た所を銃弾のようなものが通り過ぎる。

 何が何だかわからなくなったところに、聞きなれた声がした。

「何でお前までこっちにいんだよ。」

 引っ張られた先は木の陰、その隣の木の陰にキリがいた。

「それが、なんか声みたいなのが気になって、追ってたらここに……。」

「…『声みたいなの』?」

「魔力の一種だと思うけど、何故か『声』であると認識はする、けど言葉として聞こえる訳ではないなにか……。」

「…なるほど、人間には聞こえないようになってたものが、中途半端に聞こえたんだな。」

「じゃあキリにはあれが言葉として聞こえたのか?」

「あぁ、はっきりとな。」

「どういう内容だったんだ?」

「…挑戦状だったよ。この幽世を戦場としたな。」

 もっとミステリアスなもんかと思ってたら、そんなアクティブな内容だったなんて。

「多少のもんならすぐ片付けて戻るつもりだったが、思ったより規模でかくて困ってたとこだ。」

「勝たないといけない、ってやつか?」

「いや、野生のと違ってガチ敵対関係ってわけじゃないから、頼めば帰してくれるだろうし、そのつもりになりかけてた。流石に一人じゃ勝てたとしても時間かかっちまうし、手間だ。

 けど戦力は増えたし、勝って帰してもらう方が話は早いとは思う。

 …それに、勝負を売られて乗って、即降参は嫌だし。」

 そしてひと呼吸の間ののち、キリが言葉を続ける。

「急で悪いが、手を貸してくれないか?」

「分かった。まずは情報を頼む。」

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