18話 ハルルの手伝い⑤
「──そしたら表示が時間設定になるから、書いてある時間に合わせて、このボタンでスタートだ。」
「これで何が起こるんでしょうか?」
「時間まで待ってみれば分かるよ。」
ピッ、というボタン音ののち、電子レンジがうなり始める。
事は少し遡り、スマホの件が一区切りついた時。
本当はSNSアプリの事とかも教えたかったが、それは今後の課題と見送った。
そもそもの識字問題もあるから、すぐに解決できる事でもないし。
時間も程良いしとの事で、夕飯にという話になった。
じゃあついでに、と近くのコンビニまで一往復。
そしてレンジの使い方を実演し、今に至る。
「ひゃっ!」
レンジのタイマーが鳴り、ハルルが驚く。
「もう開けて大丈夫だぞ。」
「はい。…おぉ、温かい……。」
容器の淵を持ち、ハルルがリビングのテーブルへ。
ポーチドエッグ風ソースの乗ったカルボナーラだ。
その隣で自分用のざるそば弁当を展開する。交際費として経費から出る、という言葉に甘えさせてもらった。
とはいえ温め時間待たせるのも悪いし、と冷製モノからのチョイス。
フォークの袋を開けるのを少し手伝い、ディナータイム。
特に何も教えてないけどフォークでパスタを巻いてるのを見るに、そういう文化も向こうと同じようだ。
「…おいしい。」
一口目で、目をつむりカルボナーラの味を噛みしめている。
「そういや、向こうの世界の料理ってどんな物なんだ?」
「丁度これに似た料理がありますね。味もこんな感じなので作り方もほぼ同じでしょうか。
だから深く考えず選んじゃったけど、この感じが懐かしくて……。」
そうか、違いすぎる環境に身を置いて活動ってそれだけでも、大分負担だったんだろうな。
今はそっとしといてあげよう。