175話 最終調整⑤
ギリで間に合う咆哮バフ、鳴る最大チャージの音。
旋回の小さな隙に、最大級の一撃が入った。
「やった…のか…?」
ムービーに入り、大剣を落とし、体勢を崩すガトリーニ。
だがまだ闘志は消えず。ブラーエフェクトと共に、大きく咆哮を上げる。
だが、それを中断させる矢が一本。続けて数えきれない程の矢が、ガトリーニに襲い掛かる。
そして、自分とガトリーニの間に立ちはだかる数人。ヒダーラの民たちだ。
「すまねぇ、予想より遅くなった。
だが、万全の隊で来れた。お前が作ってくれた勝機だ!」
戦闘が始まる。が、最早戦況は一方的だった。
号令と共に放たれる、一陣の矢の雨。帯びた魔力によって追尾し、狙いは外さずガトリーニに襲い掛かる。
反撃しようにもガトリーニは薙刀部隊に包囲され、身動きが取れず。ハルバード兵の攻撃をろくにガードできてない。
そして更に降り注ぐ矢の雨が、ガトリーニの体力ゲージをどんどん削っていく!
けど3回目の矢の雨に対し、ガトリーニが反撃に出る。
咆哮で周囲の兵を怯ませ、赤熱した大剣を大きく振りかぶる。これまでと違う、地面に突き立てる構え。
…なんてのんびり見てる場合じゃない。爆発はハルバードではガードできない。範囲外に逃げないと。
ダメだ間に合わない。それに剣を突き立てた地面からの爆発が、これまでのどの技よりも範囲が広い!
…けどダメージはここまで届かなかった。
目の前には盾を構えた隊長な人。そのまま手にした片手の小型斧でガトリーニを怯ませ、膝をつかせる。
ワイバーン召喚の反動は消化済み、一通りどの技でも使える状態。だけど、考える前に既に決めていた。
ウルフをバードにサモンシフトし、魔力ワイヤーで空中へ。
ガトリーニの真上に来たところでとっておき。空中で振り上げるハルバードに、魔力の龍が付き従う。
振り下ろし攻撃「天龍堕とし」が、ガトリーニの体力ゲージを削りきった。