173話 最終調整③
探索フィールドの果て、エリア切り替えの境目の前。
ここから先に進めば、おそらく第一章のラスボス戦だ。
このゲーム、ボスが基本的にマルチ前提の難易度調整で、実装直後のボスは「ソロでも一応倒せはする」くらいのハードモードじみた戦闘になる。
踏み込む前に、準備の確認。武器はキリに作ってもらったハルバード、防具スキルもそれ用に再調整した。ショートカットに設定した回復薬も、十分な数を揃えてる。
踏み入り、ボスが現れる。猛獅子ガトリーニ、そう呼ばれていた大型モンスターだ。
錆びた大剣を携えた、獅子の胴体の首のところに獅子獣人の、ケンタウロス体系の…なんていうんだっけこういうの。
なんて考えてる余裕は無い。遭遇ムービーが終わり、操作に切り替わる。
この体形のモンスターは初見だ。ウルフを召喚し、まずは出方をうかがう。
突進、横にかわす。が、すぐさま大剣の大振り。かわせず被弾、ダメージと共に吹っ飛ばされる。
だけどこちらも受け身の魔力ワイヤー。先端を受け取ったウルフにも操作指示、遠心力で大きく回り込みながら接近する。
接敵と同時に溜めていた一撃をぶち込む。しかしガトリーニの大剣がそれを防ぐ。
けど並行して入力していたウルフの攻撃は通り、ダメージエフェクト。「条件達成するまで無敵」系のギミックではないようだ。
攻略するには今みたいな複数方向からの攻撃か、召喚士以外のソロに対応してるんなら後隙を狙うとかか?
再び同じ突進の構え。派生まで同じだとしたら、試すチャンス。
突進自体の判定はそこまで広くない。最低限の横ステップで回避。
続く武器の構え、ここだ。突進薙ぎを置く。
これまでの斧ならアーマーで耐えてそのまま攻撃。でもハルバードなら違う。
基本は斧だが、槍の性質も一部持つハルバード。ガトリーニの横振りを受け流し、姿勢を低くし加速、かち上げの一撃。
やっぱりこれなら通る。体力で受ける斧だと体力消耗がやばかったが、ハルバードならノーダメージの受け流し。スタミナ消費は激しいが、回復薬をがぶ飲みするよりはよっぽど動ける。
よろけた所に次の攻撃入力、同時にウルフに指示。ウルフによって作られたウィークポイントに丁度、間髪入れず薪割りの一撃!
体勢を立て直し始めたところで警戒し一度距離をとる。ウルフの方は挑発の遠吠えで、自身に自動回避のバフを入れさせる。
挑発の効果で敵がウルフの方を向き、こちらに背を見せる。。これが通用するのはでかい。
ステップで距離を詰め連打コンボの3連撃。リーチも伸びた分、弱点に届く!
その間にウルフに踏みつけ一撃、二撃、しかしバフの効果で自動回避するウルフ。不穏な動き、咄嗟にスキルのパリィを切る。
ビンゴ、回転薙ぎを受け反撃、こっちも横薙ぎの一撃!
飛びのき距離を取るガトリーニ。直後、大きく跳躍。
幸いウルフを狙ってくれて、ウルフは自動で避ける。反撃…と行こうとしたが、地面が赤く。まずい予感。
攻撃の入力はしてしまっている。地面の大規模爆発を避けられない!
大きく吹き飛ばされ、回避したところで丁度ウルフの回避バフが切れる。
薬を飲み体力を回復し、改めてガトリーニと向き合う。
ここまでの動きで立てる予測、おそらく対空攻撃に関しては乏しい。
なら、最近習得したあの召喚の方がいいだろう。
行動で溜めたゲージを時間で消費する、奥の手の召喚。 MAXではないが、2回のジャスガで多少は溜まった。
サモンシフト:ワイバーン。
ウルフが光エフェクトに包まれ飛び上がり、腕翼の竜へと姿を転ずる。