166話 同盟結成?②
準備といっても、戦闘の為に武器を持ち歩くわけでもなく、道具を使うわけでもない。
むしろ出発の為の準備というよりは、さっき買ってきた物を、必要に応じて冷蔵庫に並べたりする程度。
10分後にとは言われたが5分とかからず準備は終わり、外でアイナを待つ形に。
アイナが出てきたのは、ナナノハの部屋の方からだった。
「行くぞ」と一言だけ合図をし駆けだすアイナ。詳しい話を聞き出す余裕も無く。
追っていくにつれ、次第に周囲の人工物は減っていき。
緑の生い茂る、風格すら感じる廃屋の並びを通り過ぎていく。
…相当な時間走ったけど、軽く息が上がる程度で済んでる。自分ももう大概だな。
「で、結局なにするんだ?」
アイナが立ち止まったところで、やっと聞ける。
「この辺のザコ掃除だよ。
てきとーに密集地選んできた。この辺の一掃すんぞ。」
ナナノハが言ってた、弱小の怪異を予め掃討しておく事で、その地域にいる大型を弱体化させる意図のだろうか。
「…けど、ここに予告は無かったよね?」
待ってた時に日替わりボスレイドのスケジュールは確認したが、少なくともこの周辺は指定には無かった。
「戦力を見せつけるんだよ。あたしらならこれくらいできるって。
それに地域全体の妖力増加は、ボス無関係に発生してんだ。やっとくに越した事ないだろ。」
「それは…まぁ確かに
けど二人でここら一帯って無理じゃ?」
前に地図見た時、密集地帯は多少の規模差はあっても、大体の面積で見てどこも山ひとつと同じくらいの広さがあった。
二人で対応できるなんて到底──
とため息をつく間も無く、眼前に広く走る炎。
その発生源は、アイナだ。
「無理と思ってたら実行してねーんだよ。
ほら、とっとと取り掛かんぞ。」