表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
161/231

161話 戦力として④

 影が揺れる日差し、風になびく葉の音。

 畳のこの部屋は、そうか明穏寺院の一室か。

 まだ温まりきらない空気の平穏さの中、手足はしっかり縛られている。状況の確認が取れてない以上、それは当然の措置か。

「…誰かー?」

 と、ふすまに向けて呼びかけてはみるが、返ってくる返事は無い。

 まだ寝てる、なんてオチも考えられなくはないが、何らかの手が空かない事情があるとしたらハルルの負傷だろうか。見た目には軽傷でも、呪いから受けた傷を甘く見れないのは、体験済みだ。

 ロロに頼んで脱出できないだろうかとは思ったが、以前縄に退魔的な術が込められていたのを思い出す。同じ物だとしたらロロの牙は弾かれるだろうし、もし切れたとして作るのが大変とか言われたら責任は取れない。

 大人しく待つ事にしよう。


 その間に昨晩の事を思い返す。

 アクションゲームじみた自分の動き、漫画キャラじみた探知能力。

 今も部屋の外で何らかの揺らぎを感じる。けどぼんやりしててよく分からないし、感覚を閉ざす事もできない。揺れる船の上にでも居るような気持ち悪さ。

 この感覚にも慣れていくべきなんだろうけど、今はただただしんどい。縄のお陰で楽な体勢を取る事すらできない。



 どれくらい待っただろうか、部屋に近づく反応。近くに来てからソウクロウのものだとやっと分かった。

 ふすまが開けられるとほぼ同時に、何よりもまず気になってた事を思わず口にする。

「ハルルは無事なのか?」

「あぁ、念の為確かめたが、問題無い程度の軽傷だ。

 それより問題は貴様の方だ。聞かせてもらおうか、昨晩の仔細を。」

「…とりあえず縄ほどいてくれないかな……。」


「…屈服させずとも制御できた、か。

 それは再現性のあるものなのか?」

 縄を解いてもらい、一通りの状況説明を終え。

 その途中でロロを呼び出したが、やはりというか眠そうにしている。

「今回で分かったんだ、ロロの事。

 『制御する』ってのにこだわらなくて良かったんだ。ロロの行動指標を聞いて折り合いをつければ、それで十分だったんだ。」

 それに対しソウクロウは思う所はある様子だが、聞かれたのはその先の事だった。

「…戦線復帰可能、と見ていいのだな?」

「あぁ、行けると思う。」

「もしも再び呪いに飲まれる事があったら、その時は敵として『処理』する。いいな?」

「大丈夫、ロロはもうそんな事しないよ。な?」

 ロロの動きは少ないながら、それを認める合図の一瞥をくれた……気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ