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160話 戦力として③

 痛みの波が引いていく。

 まだじんわりとした痛みが残るが、動けない程じゃない。

 以前はこの後、正気を保てなくなるほどの意識の侵蝕があった。

 けど、今は違う。極限状態ながらも、思考はいたって平静だ。むしろ過剰なまでに思考が研ぎ澄まされてるのを感じる。

 長物が適さないのは、さっき見た通り。逆に極端に極端に小型化した、手斧を作り出す。



 聴覚が冴え、それに連動するように魔力の探知とでも言うべきか、周囲の存在をレーダーマップのようにイメージの中に感じ取る。

 ロロの以外の2つの大きな反応はハルルとソウクロウか。そして周囲の無数な小さい反応、それが標的。

「正気、なのか?」

 警戒心のままのソウクロウの問いに、うなずく事で答える。

 何らかの魔力の流れと同時に、ソウクロウが言葉を続ける。

「広域の術に、少々準備の時間が要る。

 それまで上利田を含め、護衛を頼む。」

 言われずとも。


 魔力感知が、不審な音が、4匹の接近を報せる。

 踏み込み1振り目で2匹、反転してもう1振りで2匹。標的を仕留めた確かな手応え。

 攻め手の隙間、今度はこちらから。近くにいるのから順に片っ端から斬りかかって回る。

 3匹目を裂いたところから、数えるのはやめた。そんな事より、殲滅に集中だ。

 草むらの陰に潜んでるのもいるが、多くは木の上。木を壁蹴りの要領で登り、攻め込む。


 不意に思考に直接届く指示。言葉を仲介しないそれは、咄嗟に行動に移せた。

 逆側から逃げるように現れる一団、ロロがおびき寄せたものだ。それを一薙ぎ。命中精度が甘い、けど数は減らせた。討ち漏らしたのはロロがそのまま追ってキャッチし、喰らう。

 そのまま続けて、おびき出す予告場所が空間の中に見えるように届く。

 枝を渡り歩き黒蛇を誘い出すロロ。それを片っ端からなぎ倒していく。


 そして地面が光りだす。前にも見た、ソウクロウの浄化術だ。

「即席の術だ、巻き込むかもしれん。退避しろ!」

 皮膚の表面がぴりぴりする。自分も呪い側の判定をけてるからか。

 思考の中のレーダーマップに、ソウクロウの術の範囲が見える。

「ロロ!」

 撤退の道中、上にいるロロに触れ回収。そのまま範囲外へ。

 いくつもの小さい黒い煙が上がるのを見届け、疲れが一気に襲ってきた。

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