16話 ハルルの手伝い③
色々未着手すぎて戸惑ったが、1つずつ決め打って順に事を進めていこう。
まずは既に設営が済んでいる洗濯機へと目標を定める。
一応ハルルの言う「書物」…取説に目を通す。特に変わった機能とかはない乾燥機なしのやつだ。
さて取り掛かるか、と思った所で脳裏をよぎる問題点。
「どうかしました?」
「いや、洗濯物の事に取り掛かろうかと思ったんだけどさ。
こればかりは流石に俺が見るのはまずいよなぁ、って。」
同じ建物、同じ間取りで意識が緩んでしまっていた。
ここは俺の部屋じゃない、ハルルの部屋なんだ。当然その洗濯物は……。
「…それもこちらの風習でしょうか?」
「まぁ…そんなとこかな。
だからやり方は教えるから、作業は自分でやってほしい。」
角を挟み、洗濯物が見えない場所まで退避。
一通りの指示をし、作業の音が聞こえる。
「…これまでは洗濯物どうしてたんだ?」
「それはもちろん、手洗いで。」
正直、そんな予感はした。けどまさか本当に当たってるとは。
「…大変だったんじゃないか?」
「元々遠征となった以上、大変なのは覚悟してたので。あれくらいの事は苦労の内にも……。
…よし、おっけーです!」
その言葉と共に、洗濯機の蓋が閉められる音。
「ちゃんと洗剤もいれたか?」
「はい!」
「じゃあボタンをこの順で押せば、あとは待つだけだ。」
「うわっ!?」
給水ののち、洗濯機が回り始め、その音にハルルが驚く。
「これ…大丈夫なんですよね?」
「そういうもんだ。」
ハルルが興味深そうに眺めてる脇で、次に着手すべきものを探る。
その標的は、すぐに目星がついた。
テーブルの上に置かれている小さな板。
スマホだ。