158話 戦力として①
「…本気で言ってるのか? 呪いをあえて拘束しないなどと。」
オカルト研究同好会のの活動日、相変わらず活動部屋で待機してるソウクロウとの相談。というより、ほぼ一方的なこちらからの提案。
「あぁ、呪いとの決着をつけたい。」
「…それに至った経緯から聞かせてもらおうか。」
長い説明にはなったけど、先月からの事を全部順番に話した。
呪いの意思をウルフという器に移し分離する事には成功した事、その呪いの意思「ロロ」のそれからの様子の経過。そして、ロロに実際のイヌ科のような性格を見て取れた事、実力で屈服させる事ができるかもしれないという事も。
そして数日後、満月の日にロロが活発になると予想し、決行するという事も。
「…その呪いを屈伏させるという案、確証はあるのか?」
「示せる証拠は無い。けど客観的にロロを見てて思った。こいつにあるのは悪意じゃなくて、本能に近いものなんじゃないか、って。それが悪い形で見えてただけで。
それに、現状の都度対処をこれからも続けていく訳にもいかないし、どこかで決着は付けないといけない。だろ?」
不穏さが進行する中、自分もそのタスクのひとつで居たくはなかった。
「決意はあるのだな?」
「あぁ。だから、もし失敗して暴走したりしたら、余計な被害を出す前に止めてほしい。どんな手段を使ってでも。」
「…言ったな?」
含みのある言い方。だが元よりそのつもりだ。
「…分かった。その上での具体的な要求を聞こう。」
「追及はもういいのか?」
「仮に否定したとて、それを聞く手合いではなかろう。
それに、こちらの情報では得体の掴めなかった呪いだ。お前自身の覚悟があるというのなら、僅かな可能性であろうと挑むのは吝かではない。
それは『貴様』も同じか?」
最期の一言は、自分に向けた言葉ではなかった。
遠隔操作されてる紙人形によって開けられる入口。その不意の事に外に、居たもう一人の来訪者、ハルルが驚きの声を上げる。
「何も隠れて聞く事でもなかろう?」
「その、興味深い話を中断させてしまいたくなかったもので。」
抑えきれない様子を見るに、嘘ではないらしい。その様子にソウクロウが呆れながら言葉を返す。
「…この際、命令として処理した方が面倒が無いだろう。
上利田、貴様も補佐として同行しろ。」