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155話 呪いの化身②

 やっぱり実力行使しかない。そう思い至って。

 広さがあって目立たない場所、河川敷の橋の下へ。前にハルルとの手合わせで使った場所だ。


 ついでで試して今知った。どうやら俺が出せる上限は、斧1本と召喚1体。

 これまではその両方を思考の中に維持する必要があったから、それを増やすのは無理が生じて試せなかった。けどウルフのイメージの維持がロロに移った事で、そこに余裕ができた。だからロロと戦うのにウルフか、あるいはバードでも従えさせられないかと。

 結果はダメだった。無意識のリミッターでもかかってるのか、形になってくれない。

 だから斧一本で挑まないといけない。とはいえそれなりに戦いの経験は積んだんだ、これでもそれなりに行けるはず。



 …なんて考えてたが、やっぱり今日もダメだった。相変わらずロロはやる気を起こしてはくれなかった。

 端っこの影の濃い涼しい場所を取り、ぐでぐでしてる。

「なぁ、俺に何か不満でもあるのか?」

 と隣に座りながらロロに問う。

 それに対し、ロロは構うでも逃げるでもなく、堂々と無視を決め込んでる。


 …こういう事、前にもあったな。魔界でのあのドラゴンの子供の時か。

 だけどあいつの時は「その距離が心地いいから」って理由だったし、言われて思い返せば確かにそんな感じの不思議な安心感もあった。

「…なぁロロ、少しくらい反応してくれないと、俺としてもどうしようもないんだよ。」

 この「ロロ」という名前も、受け入れられてるのか分かってない。というか、そもそも言葉が通じてるのかすら分かってない。

 それでも、意思で通じると信じて試すしかない。


 とはいえこうも手応えの無い事を続けるのも時間の浪費感。今日のところは引き上げて、何か別のアプローチを考えて出直そう。

 息するかのように揺れるロロの背に手を触れ、強制的に術を解く。


 拒絶してきてる割には、こうなると大人しいよな。最初の時はあんなに暴れたのに。

 …いや、今、ロロを戻す時に一瞬だけ見えた思念。単純だけど、納得もしてしまう答えだった。

 本来なら月に一度しか働かないところを、無理に呼び出したからだろうか。

 まさか単に眠かっただけだなんて。

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