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148話 試行錯誤②

 キリの発案から、やってきた神社。

 移動の道中で思った。そもそも神社ならもっとシンプルにお祓いとかできないものだろうか、と。

 常駐の神主さんのいないような神社だけど、あるいは…?


「…なんかにおうな。」

 神社に立ち入るなり、かけられる声。

 最早馴染みの相手、神使の青白く光る狐だ。

「におうって、どういう意味だ?」

「呪いっつーか違う生き物っつーか。悪霊にしちゃなんか生々しいってゆーか。

 まさか自覚がねーわけねーよな、お前が。」

 話す暇の無いままその言い方にはむっときたが、口論は今回の目的ではない。

「人狼の呪い、だよ。」

「ジンロー? なんだそりゃ。」

「古い西洋の呪いだよ。

 ほぼ地球の反対側での事だったからね、よくは『見え』なかったけど、栄えた呪いのひとつだよ。」

 言葉と共に話に入ってきたのは神使の相方、もう1匹の青白狐。

「…よくわかんねぇけど、悪霊憑きの(たぐい)って考えていいやつか?」

「うん、それに近い存在、だと思うよ。」

「そうなのか?」

 反射的に漏れた問いに、2匹目の方が答えてくれる。

「そうだね、君の中にもう1つ別の意思が重なってるのが見える。

 それで、察しは付くけど願い事…というよりは、ここに来た目的は何だい?」

 そうだ、当初の目的。「呪いを上書きする」っていう解決案のひとつ。

「どっちでもいい、俺に一度取り憑いてほしい。

 それで呪いを無害化できないか、試したいんだ。」

 予想外の返答だったのか詰まる返答、代わりにもう片方のが流れを拾う。

「それ、分かって言ってんのか?」

「…どういう事なんだ?」

「確かにそれで除霊できるかもしれねぇ。けどそれはお前の中で呪いと喧嘩して、鎮圧するか追い出すって事だ。

 妖術師と言えど、相当な負担がかかる。下手すりゃ死ぬぞ。」

「じゃあもっとこう、穏便にお祓いとか…無いのか?」

「神主がいりゃあできたんだがなぁ。オイラ達はあくまで神の使い、別に万能って訳じゃねぇんだ。」


「そもそも『それ』は敵なのかな?」

 探り探りながら、もう片方の言葉が割り込む。

「少なくとも、味方ではないと思う。」

「そうか、それが君の認識か。

 さっきは意思とは言ったけど、意思というよりはもっと、本能に近いのかな?」

 確かに、あの日朦朧とした意識の中での思考は悪意ではなく、純粋な生存意欲とも思えるもの。

「けど、だからといってこのままにしても無差別に襲うんじゃ、悪意の有無なんて……。」

「霊を使役する術師も、過去に居たからね。霊を式神として使役する陰陽師とか、管狐を扱う狐持ちとか。」

 使役…そうか呪いそのものに意思のようなものがあるというのなら、あるいは……。

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