147話 試行錯誤①
「で結局すぐには解決できなくて、しばらく様子見か。」
と通話の向こうからキリが言う。
ソウクロウにどうにかFINE入れさせて最低限の使い方教え、自分の他にキリ・ソウクロウ・ナナノハのグループだ。
ハルルにも助けを頼もうと思ったが、ナナノハから任された仕事で忙しいとの事で、代わりにナナノハが相談に乗ってくれて、今に至る。
「なるほど、この間のソウクロウさんの件も併せて事態は分かりました。
確かに魔界の方でも、人狼化の呪いの解呪は困難と聞いてます。」
とナナノハが。
「あれ、そっちの世界にもそういうのあるんだ?」
「その実例の方を知ってますし、少しですが話も聞きました。
完全な解呪というのは危険が伴うので、代わりに人狼の姿で固定するよう書き換えて、肉体的・精神的な負担を取り除く、という対処をしたそうです。」
「だが、それと、こちらの人狼の呪いが同じとは限らないのだろう?」
と反論したのはソウクロウ。
「はい、それが最大の問題です。
でも解決法の流用はできずとも、何らかの参考になれば、と。」
「上書きって発想は、そっちでも言われたんだよな?」
と今度はキリが。
「あぁ、別のより強い呪いで上書きできれば、って。」
「そのやり方で何か都合のいい呪いねーかなって考えてたんだけどさ。
で、思いついたんだけど、狐憑きとかってどうなんだ?」
名前くらいは聞いた事のある呪いだ。呪いというか、悪霊憑きというか。
「狐って…アイナで何かできるのか??」
「それより適任な奴がいるだろ?
面識があって、もっと霊的な狐が。」
そうか。連絡付く相手から相談相手を探して失念してたが、あいつらに頼るのは案として強そうだ。
「…神社の使い達か。」