142話 夜明け②
すぐに解決できる問題ではない、ならまずは休息を、と帰ってきたアパート。
色々と違和感はあるが、今すぐ問題になるような事は今のところ無さそうだ。
とはいえ放置できる問題でもない。気持ち休まる事無くぼんやり外を眺めてると、そこに現れたナナノハの姿。
そうか、今日はソウクロウの判断を聞く約束の日か。なんて考えてると、ナナノハの方がこちらに気付きやってきて、こちらもベランダのガラス戸を開け迎える。
「ユートさん! この数日で何があったんです!?」
「何がって…何?」
勢いに押されながらも、曖昧な質問の意図を解きにかかる。
「それが、ソウクロウさんの様子があまりにも変わりすぎてて、余程の事があったのでは、と……。」
「…どんな様子だったんだ?」
心当たりは明確すぎるが、一応確認の意を返す。
「彼らの持っている情報の閲覧許可、そしてボク達『ミシカンド派遣調査チームA』と『東妖衆』の連合の指揮をボクあるいはハルルさんに預ける、と。
以前の様子では、ボク達の方が指揮下に着くか、良くて対等な同盟くらいと思ってたのですが、極端すぎて。」
「不都合なのか?」
「それ自体は構わないですし、あちらがそのつもりなら要求には応えるつもりですが。
ただ、ああも様子が変わると心配にもなってしまうというもので。」
「…昨日の戦いの事で、調べないといけない事ができて。それで忙しくなるから、だと思う。」
「それだけで…ですか?」
自分が呪いを受けての事を、と言おうとしたが、言葉にする前に詰まってしまった。
「でも、やっと協力体制にはなったんだな。」
これまでソウクロウは一度ハルルとのコンタクトはあったけど、それでも独立として動いてて。
逆にハルル達の方も動きづらさが見ててもどかしかったし、関係が進展した事は素直に喜ばしい。
「これまでダメだった理由も言ってました。
戦力差、指揮系統の不足による委任、それによって取り込まれる事、そして指針が変わってしまう事を懸念してたようです。」
「まぁ確かに『妖怪を退治しに来た魔界の者です』なんて言われたら、怪しさしかないな。」
「あとは東妖衆さんの承認さえ取れば、余計な睨み合いは終わりになりそうです。」