127話 渦巻く変化③
「いや、言動に敵意が無いのは以前ので分かった。
だがこのタイミング、もしそいつの関係者とあらば、話を聞かねばならんな。」
と、キリに対して問うソウクロウ。
……を無視して、キリに飛びつくその化狐。
「キーーリーーー!
ずっと探したんだよー!」
「やめろ離れろっ!」
「もー周り人間ばっかで心細かったんだよ!?」
「…一応、そういう不用意な発言は気を付けろよな、人間がどうとか。」
「え、あ、まじ? やば?」
とこっち側を見る。
「…元より『見えてる』から問題は無いが。」
「俺も同じく。」
「なんだ別に問題ないじゃーん!」
「お前だとやらかしそうでこえーんだよ、そういう察しの悪いとことか。」
そこから場が落ち着くまで、それなりに時間がかかった。
結局、キリに抑え込まれる形で席に着き、話の主導権はソウクロウに。
「では問おう。貴様は何者だ?」
…けどふてくされて答える気配は無い。見かねて代わりにキリが答える。
「こいつは古塚 相奈。どこぞの稲荷神社の神使の遠縁、だとよ。」
予想はしていたけども、やっぱり凄い肩書が出てきたな……。
でもそれに狼狽える事なく、ソウクロウが次の話に。
「で、それが何の用なのだ?」
「そう、用! あんたも妖術師なら分かるだろ?
この辺の情報持って来いって姐さんに言われてんの! なんかじょーほーねーの!?」
身を乗り出し食らいつくアイナ。あきれたキリと一瞬目が合う。
「その姐さんってのが、貴様の元締めか?」
「そーだよ! オノザト マリ、名前くらい聞いたことあんじゃねーの!?」
「どうやら大御所のお付きのようだが、生憎そういう繋がりとは縁遠い立場でな。
素性のよく分からぬ相手に開示するものなど無い。
改めて問おう。貴様は何者だ?」
完全にソウクロウがペースを握り、もうこの場は大丈夫だろう、と一安心。
同じ事を思ったのだろう、キリからひっそりと無言の合図。手を引かれる形で、この場を後にする。