123話 訪れる変化④
神社を後にし、新たな目的地へ。
霊狐のアドバイスに従い、学校の方へ。
自分の助けになる人がそこに居る、そう聞いた。
で、そうと思われる人は、校門に着く前に見つかった。
高校の知人、碑劉院 宗句郎。陰陽師を自称していたけど、これまでの行動を見るに、おそらく本物だろう。
オカルト研究同好会をやってるが、メンバーは結局まだあいつ一人だ。俺も用があって通ってはいるが、加入届とかは別に出してないし、他に来る人もいなかったし。
なんて思い返してる間に、ソウクロウが門の陰に姿を消す。
忘れ物か何か──
「何をしている?」
不意の声かけは、塀の上から。何でわざわざそんな所に登って!?
しかもなんか睨みに敵意籠ってない? 俺が使う術として、この見た目は知ってるはずだよな?
それでも一応警戒しないといけないってのは、理屈としては分かるけども……。
ただ、この状況に冷静に対処する前に、反射的に逃げ出してた。
そうなりゃあいつならやっぱり追ってきてるな? しかも普段の戦闘で使ってるヒトガタ浮かべて臨戦態勢だな? 今から引き返したりしたら、何されるか分かったもんじゃないな?
そんで途中で首後ろに何かが貼り付けられる感触。あいつなりのベタな考え方で行けば、発信機的な何かか?
この際そうであると仮定しよう。ならこのまま走って、付いてきてもらおう。
にしても人智を超えたフィジカルで追いかけられるの怖すぎやしない?
どっかで一度落ち着きたいけどもう大通り出ちゃって隠れられる場所も無いし!
何でわざわざ電柱の上飛び石みたいに使ってきてんの!?
距離開いてる今ですら何か仕掛けてきそうで怖いんだけど!?
……必死に走ってた間に、ソウクロウが居なくなってる。もしかして撒いちゃった?
けど引き返して探そうにも、それはそれで手掛かりが無さすぎる。
さっき貼り付けられた何か、札みたいなのはまだくっついてる。これを追って来てくれるのに賭けるしかないか。