11話 身近なファンタジー③
調査対象を知る為に、手軽に取れる手段。
となるとやはり尾行か。
とはいえ深入りし過ぎないよう、普通の行動範囲としておかしくない程度まで。
学校から出て人通り多い中、キリを見失わないよう気を付けつつ。
普段は途中から流れから離れバス停へ向かうが、今回は大多数の流れの方へ。確か駅へと向かう道だ。
雲ヶ崎駅前。
学生からの稼ぎが見込めるからだろう、この辺りとしてはかなり栄えている。
遠景が寂しい事を除けば、都市部かと思う程の一望だ。
駅前広場から軽く見渡すだけでも屋外フードコートにカラオケ屋、コンビニもイートインスペースが広く、集まる場所には困らなさそうだ。
かと思えば、奥に音ゲー筐体の垣間見える小さなゲーセンが風情を醸し出していたり。
改札前を通り過ぎた先は、通路が商業ビルに繋がっており。
とはいえ手前と比べて殺風景なもので、いくらかのビルを抜ければ再び緑と空き地の目立つ──
違う、今回の目的はそういうのじゃない。
キリはそれでもまだ先を歩いてる。けど何故こんな所まで?
いや、もうこれは既に踏み込み過ぎか、そろそろ引き返すべきか。隠れられる場所も少ないし。
だがその前にキリが立ち止まり、こちらを向いて言う。
「人混みに隠れてたつもりなんだろうけどさ。
最初からバレバレなんだよ、ユート。」