103話 養生と思案の末⑤
場所を変え、1階のソファ。
何の為の空間かわからないが、それはここの人も同じらしい。物がほとんど置かれておらず、持て余されている。
外の騒がしさに飲まれる前にナナノハと二人、こちらから話を切り出す。
「ナナノハの方は、何か手伝える事とか無いのか?」
「ボクの方もやる事無いというか、無くなったというか。」
「…どういう事?」
「昨日まではあったんですけどね。
それより優先度の高い事としてユートさんの事を任されまして。
一度保留を経由するでしょうし、お望みとあらば回収してくる事も可能かと。」
「…そこまでの扱いされると、もうプレッシャーなんだけど。そんな大した事はしてないのに。」
そう言い終わってから、気になる事が。
「ナナノハってさ、他のメンバーより前から来てたんだよな?」
「はい、5年か6年程早くでしょうか。」
「それで向こうの世界については結構知ってるんだよな、自力で言葉を覚えるくらいには。」
「そうですね、それなりには知ってるつもりではいます。」
「じゃあ何でナナノハじゃなくて俺が情報源になってるんだ?」
それだけの経験があるなら、わざわざ俺が頼られる理由は一体?
「それは──」
その言葉を遮る、第三者の割り込み。
さっき3階で会った、もふもふトリオだ。
「ねぇねぇ、今大丈夫!? 元気になった!?」
「向こうにも英傑みたいな人っているの!?」
「だから落ち着きなってー。
…でも、ボクも気になってきたなー、あっちの食べ物の事。」