第3話 納品の時間です!
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味のしない食事を終えて、仕事を再開しました。ですが…
「…困りました。どうしましょう…。」
魔法に上手く集中できず、質のいい宝石が作れません。ただでさえ時間が無いのに…。このままじゃ明日の10時までに間に合いません。
もし、間に合わなかったら…もし、皆さんが洗ってない食器を見て私に失望したら…もし、このまま魔法が上手く使えなくなってしまったら…。
なんだか、私の全てが無くなってしまいそうな気分です。
絶望感…徒労感…孤独感…。他にも色々…。
納期の10時まであと14時間…。なんとかして集中できるようにしなくては。そのためには…、
私は、魔女としてやってはいけない事だとは思いつつも、仕事を一時中断しキッチンへ向かいました。
1時間もあれば片付くでしょうか…。でもそうすると納期まであと13時間…。10時間やって半分も終わってないんですもの。終わる気がしません。でも、この食器たちを片付けないと、質のいい宝石は作れないし…。
こんな考えをぐるぐる繰り返していたらキッチンに着きました。
「ちゃっちゃっと終わらせちゃいましょう。」
袖をまくり、蛇口を捻り、一つ一つ洗い始めました。
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…やっと最後のお皿です。最後のお皿を拭き終えて、時計を確認しました。
「え!22時?!」
2時間もかかってしまうなんて…。納期まであと12時間になってしまいました…。急いで仕事部屋に戻らなくては。
私は小走りで仕事部屋へと戻り、仕事を再開させました。
先程よりかは集中できていますが…やはり少しだけ質が落ちてしまいました…。
「…これくらいなら、大丈夫でしょうか…。」
遠目で見たら分からないし、これ以上質をあげるのは今の私には無理みたいです。
「はぁ…。命令通りに仕事ができないなんて、魔女失格です。」
王妃様は、この宝石を気に入ってくださるでしょうか…。そもそも、王妃様ってどんな方なんでしょう?会ったことなんてもちろん無いし、話すら聞いたことありません…。去年の今頃に生誕祭用のティアラの宝石を作るなんて仕事は来ていませんし…。なにか訳ありなのでしょうか…?
まぁ、魔女の私がそこまで知る権利はありませんね。
余計なことを考える暇はありません。この調子で仕事を続けましょう。
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「…終わったぁ。」
時間は9時55分。本当にギリギリです。転移魔法で今すぐ王宮へ向かいましょう。
できた宝石たちを箱に詰め、少しばかり身なりを整えて、転移魔法で王宮へ向かいました。
ザザー……
王宮の庭にある大きな噴水に飛ばされました。正面の入口を目指したのですが、少しずれてしまったようです…。今すぐ入口へ向かいましょう。入口へと足を進ませようとしたその時、
「ねぇ。あなた、どこから入ってきたの?」
…突然声をかけられてしまいました。綺麗なドレスを着た王族の方?でしょうか…。とても美しい方です…。
「あ、えっと、転移魔法でここまで来ました…。入口を目指していたのですが、少しずれてしまって…。」
「転移魔法?もしかして、あなた魔女?魔女がどうしてここに…。」
「あ、ごめんなさい。用が済んだらすぐに帰ります。」
「用って何?魔女がどうして王宮に用があるの?」
「あ、あの、宝石を…。」
どうしましょう…時間が無いのに。でも、王族の方を無視して行く訳には行きませんし…。
「宝石?あ、もしかして宝石魔女?」
「そ、そうです。私、宝石魔女のラノと申します。宝石の納品のために…王宮へ参りました。」
「あなたが宝石魔女?思ってたよりも随分若いのね。私と同じくらいかしら?」
あぁ、時間がもう無い!なんとかここを切り抜けなくては!
「あ、あの!…納品の時間になりますので、ここで失礼させていただきます…。」
「あら、ごめんなさい。同年代の女の子なんて久しぶりだったから、つい話し込んじゃったわ。」
…同年代の、女の子?魔女なのに…まるで私のことを同じ人間として見てるみたい…。
「あ、いえ…。とんでもございません。」
「正面入口に行くなら、こっちから行くと近いわよ。いつも宝石を作ってくれてありがとう。また会えたら嬉しいわ。」
「…え?」
なんて綺麗な微笑みでしょう…。それに、お礼なんて…初めて言われました。魔女の私にまた会えたら嬉しいって…。この方は、天使かなにかでしょうか…。
「あ、ありがとうございます。失礼いたします。」
私は、この方の指した道を進み、正面入口へと急ぎました。1秒でも遅れる訳には行きません。
…あの方は、一体何者なのでしょうか…。
……To be continued




