ごん
童話からアイデアをもらって書いてみようという遊びで作った小説です。
ゴンッ!!
「…痛ってええ!」
俺は足の小指をぶつけた。最近何故かぶつけることが多いが、何度ぶつけてもやはりこの痛みには慣れない。
「なんだよ、また何もねーじゃねーか」
そう、普通小指をぶつけるときは大体箪笥、椅子の足、曲がり角の壁のところが定番なのだが、最近は何もないところでよく小指をぶつける。これでは注意のしようもないではないか。
「これからは足元に十分に気をつけることにしよう」
ゴンッ!!
「アーウチ!!」
てへっ、今度は下ばっかり向いてたから壁に頭をぶつけちゃったよ。これは俺のせいだな、うん。
ピンポーン!
おっと、そういえば宅配の人が来てたんだった。待たせるのも悪い、早く相手をしよう。
ゴンッ!!
「っっつうぅぅ!!」
はい、お察しの通りです。小指の痛みをこらえて玄関を開ける。
「はい、お待たせしました。」
「えーと、一ノ瀬さんですね、着払いになっておりますので料金を払ってください」
「え?いや、身に覚えがないんですが、」
「えっと、差出人は柴田さんという方ですが知り合いではないですか?」
「柴田…、どっかで聞いたことがありますね」
「知り合いの方でしたか、それではサインとお金をいただきます。」
「ええ、、、はぁ、まあ仕方ないか」
「あざっしたー!」
結論から言おう、送られてきたのは皿だった。さらに野菜の絵が描いてあるではないか。サラダか、皿だけに。いや誰やねんこんなもんを送ってきたのは。
そして送り主の柴田という人、先日重い荷物を運んであげたらその中から壺を取り出してお礼にとくれたおばあちゃんのことだった。正直何でこんなもん運んでるんだよ、重い理由がわかったわ!と思った。どうやらそのときのお礼の続きのようだが、何故着払いにしたのか…。箱の中に手紙が入っていた。
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一ノ瀬さん、先日は荷物を運んでくれた上にあの壺を貰ってくれてありがとうございました。これはお礼です。
あの壺を一ノ瀬さんが貰ってくれてから家の中で足の小指をぶつけなくなりました。きっと持つべき人の所に渡ったからなのでしょうね。
大事に使ってください。
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おいおい、あれ呪いの壺だったのか。ってことはヨォ…こんなに小指をぶつける原因は…
ゴンッ!!
「っっつっ!、、お前だったのか…」
俺は部屋の隅に置かれた壺を睨みつけた。壺はまるで一ノ瀬を嘲笑うかのように悠然と立っていた。
おしまい
あの名台詞をちゃんと入れたので何の童話からアイデアをもらったのかわかったよね。